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第408話
俺は秋哉の家に戻るために、佐々木さんが取りに行った車を待っていた。
「緋桜、気を付けてね」
そう言って母さんが俺を抱き締めてきた。
「またいつでも戻ってきなさい」
そう言って父さんも俺の頬に触れる。
「…うん」
少しすると、佐々木さんが車で戻ってきた。
「お待たせ」
そう言って佐々木さんは車から下りると、荷物をトランクに入れて後部座席のドアを開けた。
「さぁ緋桜くん」
佐々木さんに乗るように促される。
俺はもう一度母さんたちを見た。
そうすると、二人はニコッと笑って頷いた。
俺はその笑顔に背中を押されたような気がした。
俺は後部座席に乗り込む。
秋哉も乗るのかなと思ったら、秋哉は助手席のドアに手をかけた。
……秋哉、後ろに乗らないんだ。
そう思うとちょっと寂しかった。
「秋哉、お前も後ろ」
そう佐々木さんが言う。
そう言われた秋哉がチラッと俺を見た。
「俺が乗っても大丈夫?」
そう聞かれて、俺は頷いた。
大丈夫、そう思うのに秋哉が隣に乗ると思わず体が揺れた。
それを見て、秋哉が悲しそうに笑う。
「やっぱり前に乗ろうか」
俺は、そう言って降りようとする秋哉の服を掴んで止めた。
「大丈夫だから、ここに居て」
そう言うと、秋哉はもう一度後ろに乗り込んだ。
秋哉は出来るだけ離れて座る。
でも俺が秋哉の服を掴んでるから、ギリギリ手の届く範囲。
これが今の俺たちの距離。
それが少し寂しく思うけど、多分これが今の限界。
それでも、頑張るって決めたから。
秋哉から来ないなら、俺から行くって決めたから。
そう思って、俺は少しだけ秋哉との距離を詰めた。
しばらくすると、秋哉の家に着く。
佐々木さんが俺の荷物を持ってくれた。
俺は自分で持つと言ったけど、それは却下された。
家の中に入ると、一週間くらいしか経ってないのに懐かしく感じた。
実家に居たときは、母さんたちと居られるのは嬉しかったけど、やっぱりどこか人の家みたいだった。
「緋桜はこっちの部屋使って」
秋哉に案内されたのは、あまり使ってなかった俺の為に用意された部屋。
秋哉の部屋じゃないと思うとちょっと寂しかったけど、それでもその部屋に居ても秋哉の気配を感じられた。
俺はちょっと疲れてベッドの横たわる。
ボーッとしていたら、俺はいつの間にか眠ってしまった。
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