414 / 452

第410話

(秋哉side) 昼過ぎに家に着いて、緋桜は荷物を置いてくると言って自分の部屋に入っていった。 ただ荷物を置くだけですぐに戻ってくるだろうと思ってたら、いつまで経っても緋桜は部屋から出てこなかった。 俺はちょっと心配になって様子を見に行った。 「緋桜」 名前を呼んでドアをノックしても返事がない。 「緋桜、入るよ?」 そう言って俺はドアを開けて部屋の中の様子を見た。 部屋の中を見ると、緋桜がベッドに横たわっていて、俺はそっと近付いた。 見るとどうやら寝ているみたいで、俺は布団を掛けてそのまま寝かせてあげることにした。 「緋桜くんはまだ寝てるのか?」 そう聞いてくる佐々木に、俺は頷いた。 今は夜の9時。 緋桜はあれからずっと眠り続けていた。 さすがに心配になって定期的に様子を見るけど、緋桜は起きる気配すらない。 俺はもう一度緋桜の部屋に戻ると、ベッドの縁に座った。 俺は眠っている緋桜にそっと触れた。 ……そういえば、前にもこうやって眠り続けた事があったな。 あの時は丸1日眠り続けて、もしかしたらこのまま起きないんじゃないかと不安になった。 緋桜に触れた指先から、規則正しい呼吸が伝わってくる。 俺は緋桜の寝顔を見てフッと笑った。 どれくらい経ったのか、いつの間にか寝てしまってみたいで時計を見ると、もう朝の5時半を過ぎた所だった。 緋桜の様子を見に行くと、緋桜はうっすらと目を開けていた。 声を掛けても反応が薄くて、まだ寝惚けてるみたいだ。 しばらくして、完全に目が覚めた緋桜は時計を見て驚いていた。 俺はその姿を見て思わず笑ってしまった。 「緋桜、気分は悪くない?」 俺はいまだに驚いた顔で固まっている緋桜にそう聞く。 そう聞くと、ピクッと反応して俺を見た。 「……大丈夫」 そう言って緋桜が頷いた。 「ずっと寝てたね、疲れてたのかな?」 「……ごめん」 「別に謝らなくて良いよ。それよりお腹空いてない?」 そう聞くと、緋桜は頷いた。 「じぁあキッチン行こうか」 俺はキッチンに移動すると冷蔵庫の中を物色した。 その様子を緋桜が後ろからじっと見ている。 「……何してるの?」 「何か軽く作れないかと思って」 「え、秋哉が作るの!?」 そう驚いた声が聞こえて、見ると緋桜は心底驚いた顔をしていた。 「……俺だって簡単な物くらい作れる」 「……ごめん、秋哉が料理とか想像出来なくて」 そう言って緋桜は俯いてしまう。 まぁ、緋桜の前では一度も作ったことないし、実際本当に簡単な物しか作れない。 「今なにか作るから、ちょっと待ってて」 そう言って俺は緋桜の頭に手を置いた。

ともだちにシェアしよう!