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第410話
(秋哉side)
昼過ぎに家に着いて、緋桜は荷物を置いてくると言って自分の部屋に入っていった。
ただ荷物を置くだけですぐに戻ってくるだろうと思ってたら、いつまで経っても緋桜は部屋から出てこなかった。
俺はちょっと心配になって様子を見に行った。
「緋桜」
名前を呼んでドアをノックしても返事がない。
「緋桜、入るよ?」
そう言って俺はドアを開けて部屋の中の様子を見た。
部屋の中を見ると、緋桜がベッドに横たわっていて、俺はそっと近付いた。
見るとどうやら寝ているみたいで、俺は布団を掛けてそのまま寝かせてあげることにした。
「緋桜くんはまだ寝てるのか?」
そう聞いてくる佐々木に、俺は頷いた。
今は夜の9時。
緋桜はあれからずっと眠り続けていた。
さすがに心配になって定期的に様子を見るけど、緋桜は起きる気配すらない。
俺はもう一度緋桜の部屋に戻ると、ベッドの縁に座った。
俺は眠っている緋桜にそっと触れた。
……そういえば、前にもこうやって眠り続けた事があったな。
あの時は丸1日眠り続けて、もしかしたらこのまま起きないんじゃないかと不安になった。
緋桜に触れた指先から、規則正しい呼吸が伝わってくる。
俺は緋桜の寝顔を見てフッと笑った。
どれくらい経ったのか、いつの間にか寝てしまってみたいで時計を見ると、もう朝の5時半を過ぎた所だった。
緋桜の様子を見に行くと、緋桜はうっすらと目を開けていた。
声を掛けても反応が薄くて、まだ寝惚けてるみたいだ。
しばらくして、完全に目が覚めた緋桜は時計を見て驚いていた。
俺はその姿を見て思わず笑ってしまった。
「緋桜、気分は悪くない?」
俺はいまだに驚いた顔で固まっている緋桜にそう聞く。
そう聞くと、ピクッと反応して俺を見た。
「……大丈夫」
そう言って緋桜が頷いた。
「ずっと寝てたね、疲れてたのかな?」
「……ごめん」
「別に謝らなくて良いよ。それよりお腹空いてない?」
そう聞くと、緋桜は頷いた。
「じぁあキッチン行こうか」
俺はキッチンに移動すると冷蔵庫の中を物色した。
その様子を緋桜が後ろからじっと見ている。
「……何してるの?」
「何か軽く作れないかと思って」
「え、秋哉が作るの!?」
そう驚いた声が聞こえて、見ると緋桜は心底驚いた顔をしていた。
「……俺だって簡単な物くらい作れる」
「……ごめん、秋哉が料理とか想像出来なくて」
そう言って緋桜は俯いてしまう。
まぁ、緋桜の前では一度も作ったことないし、実際本当に簡単な物しか作れない。
「今なにか作るから、ちょっと待ってて」
そう言って俺は緋桜の頭に手を置いた。
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