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第411話

秋哉が料理を作ると言い出した。 俺は秋哉が料理してるところを一回も見たことがない。 俺が作ってる時に手伝ってくれたことはあるけど…… 前に俺がオムライスを作った時に違う食材を持ってきてたし、ちょっと不安。 俺は本当に大丈夫かなって思って、後ろから眺めていた。 秋哉が取り出したのは、ご飯と卵。 他にハムとかネギもあった。 俺はチャーハンでも作るのかなって思ってたら、秋哉は冷蔵庫から何故か魚の切り身を取り出した。 ………あれ何に使うんだろ? て言うか、秋哉は何を作ろうとしてるんだろう。 「……秋哉、何作るの?」 そう聞くと『チャーハン』と返ってきた。 やっぱりチャーハンなんだ。 「……秋哉、チャーハンに魚の切り身は使わないよ?」 俺がそう言うと、秋哉はきょとんとする。 「あれ、入ってなかったっけ?」 まぁ、入れても美味しいと思うけど…… 「あまり入れないかな」 俺は秋哉の隣に行くと、ご飯と卵とハムとネギを避けた。 「チャーハンなら、これで作れるよ」 俺は他の食材は戻すように言った。 後は作る気満々の秋哉に任せることにして、俺は椅子に座った。 俺だって、人に言えるほど料理が出来る訳じゃない。訳じゃないけど……… 秋哉が包丁を使う時や火を使う時とか危なっかしくて、俺はその様子をハラハラしながら見ていた。 秋哉を見ていると、ふと後ろに気配を感じた。見ると佐々木さんが立ってて、俺が挨拶しようとしたら、佐々木さんが自分の口に人差し指を当てた。 佐々木さんがそっと近付いてくる。 『緋桜くん、おはよう』 佐々木さんは、そう小声で挨拶してきた。 『おはようございます』 そんな佐々木さんに俺も小声で返す。 『秋哉が料理なんて珍しい』 そう言ってクスクスと笑いながら、佐々木さんは俺の横に座った。 俺はチラッと秋哉を見る。 秋哉はチャーハン作りに集中してて、佐々木さんには気付いてないみたいだった。

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