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第412話

秋哉がチャーハンを作り初めてから30分くらい経った。 出来上がったみたいで、秋哉から『よしっ!』と聞こえてきた。 「緋桜、お待たせ……ってなんで佐々木までいるの!?」 出来上がったものを持って振り返ったときに、佐々木さんが居ることにようやく気付いた秋哉が驚いた表情を見せる。 「何でって、朝食の支度するために来たんですよ?」 そう言って佐々木さんがニヤッと笑う。 「それにしても、秋哉さんが料理するなんて珍しい事もありますね」 「うるさい」 そう言って秋哉はムスッとしながら俺の前に出来上がったチャーハンを置いた。 秋哉はお皿をテーブルに置くと、また佐々木さんに悪態をつく。 ………これ、食べてもいいのかな? そう思って、俺は躊躇しながらもチャーハンを一口食べた。 ちょっと焼きすぎてパサついてるし、焦げてる部分があるけど…… 「……美味しい」 無意識にそう呟いて、もう一口と思ってチャーハンをスプーンに乗せたところで俺は二人がじっと見てることに気付いた。 「…旨い?」 と秋哉がどこか不安気に聞いてくる。 「美味しいよ?」 そう言うと、秋哉はホッと息を吐いた。 いつも秋哉は自信満々だけど、やっぱり誰かに自分の作った料理を食べてもらうって緊張するのかな? 「緋桜くん、何か飲む?」 そんな事を考えていると、佐々木さんがそう聞いてくる。 「じゃあ、お願いします」 そう言うと、佐々木さんはニコッと笑った。 「秋哉さんはどうしますか?」 佐々木さんが今度は秋哉にそう聞く。 そう聞かれた秋哉は少し考えて、チラッと俺を見る。 「…俺、緋桜が淹れたコーヒーが飲みたい」 秋哉は俺を見て、そう言った。

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