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第416話

俺は秋哉が作ってくれたチャーハンを食べ終えると、部屋に戻った。 俺は、部屋に戻ってからもずっと秋哉に言われたことを考えてた。 『緋桜はコーヒー淹れるの好きなんだね』 好きだと思う。 元々ちょっとした興味で始めたことだけど、簡単そうに見えてすごく奥が深い。 蒸らし時間が数秒違うだけで味が全くの別物になったり、淹れ方や器具を変えるだけで違う風味になる。 次から次に新しい発見があって面白い。 もっと色々と試してみたいことが沢山ある。 それに、高橋さんのコーヒーの味を再現してみたい。 『高橋さんに連絡してみようか?』 秋哉のその言葉を思い出した。 ………そうか、俺の中ではもう答えが出てたんだ。 そんな事を考えていると、コンコンとドアがノックされた。 『緋桜、ちょっと良い?』 そう秋哉の声がした。 俺はドアを開けて、秋哉を招き入れた。 「…何かあった?」 「先輩たちに緋桜が戻ってきた事を伝えたら、緋桜に会いたいって」 そういえば、先輩たちにも心配掛けちゃったんだ。 佐倉先輩に至っては、秋哉の背中を押してくれたらしい。 「都合が良ければ、今日にでも会いたいって言ってるんだけど」 「……俺は大丈夫。秋哉に任せる」 そう言うと、秋哉は頷いた。 「分かった。決まったらまた教えるよ」 そう言って秋哉が部屋を出ていこうとした。 「あ、待って」 「どうかした?」 「……えと……高橋さんに連絡……」 「して良いの?」 そう聞かれて、俺は頷いた。 「さっきまで、ずっと考えてた。やっぱりコーヒー淹れるのが好き。もっと色々と試してみたい。えと……だから……」 そう言うと、秋哉にニコッと笑う。 「分かった。高橋さんに連絡しよう」 そう言って秋哉は俺の頭に手を置いた。

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