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第417話 これからの事
それから秋哉は高橋さんに連絡を取ってくれた。
本当は俺が自分で連絡取らなきゃいけないんだけど……
高橋さんとは、次の日曜日に会うことになった。
今日は学校終わりに先輩たちが来る。
「そういえば、秋哉は学校は良いの?」
そう言うと、秋哉がじっと見てきた。
「緋桜が居るのに、学校なんて行ってる暇は無いよ」
そう言う秋哉に、俺は恥ずかしくなって俯いてしまった。
下を向いた視界にスッと手が映る。
見ると秋哉が手を差し伸べていた。
俺は少し考えた後、その手にそっと触れた。
そうすると、秋哉が俺の手をギュッと握ってきた。
「今は、緋桜と一緒に居たい。しばらく離れてたっていうのもあるけど、今は離れてるのが嫌なんだ」
そう言って秋哉は、俺の手を握る手に力を入れた。
そう言われて、更に恥ずかしくなる。
……でも、
「……俺も、秋哉と一緒に居たい」
そう言って秋哉の手を握り返した。
夕方、先輩たちから今から行くと連絡があって、秋哉と佐々木さんが先輩たちを迎える準備をしていた。
俺も何か手伝えないかと思って秋哉に聞いたら、コーヒーを淹れたらと言われてその準備をしていた。
「…秋哉、日向先輩はどうしよう」
「あぁ~、どうしよう」
日向先輩はコーヒーが飲めないから、別のものを用意しなきゃいけない。
俺と秋哉は何かあるかと、キッチンを探した。
「紅茶ならありますよ」
と佐々木さんが言う。
「日向先輩、紅茶は飲めるの?」
そう聞くと、秋哉は考え出す。
「どうだろう。紅茶もあまり飲んでる所は見たこと無いんだよね」
『基本、甘い飲み物が多いかな』と秋哉が言う。
……甘いものか。
そう思って、俺は周りを見回した。
「あ、これとかはどうかな?」
そう言って手に取ったのは、オレンジ。
「これを使って、オレンジティーとかは?」
秋哉にそう聞くと、秋哉がニコッと笑う。
「良いかもしれないね、シロップとか入れれば甘くなるし。緋桜、作れる?」
そう聞かれて、俺は少し悩む。
「……作った事はないけど、高橋さんが作ってるところは見たことがある」
そう言うと、秋哉は『お願い』と言ってきた。
作り方は知ってるけど、作った事はないから大丈夫かなとは思ったけど、俺は取り敢えず頷いた。
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