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第419話
(秋哉side)
オレンジティーを作る緋桜は、やっぱりどこか楽しそうだ。
作った事はないって言ってたけど、緋桜は手際よく作業を進めていく。
たまに手を止めて考える素振りをしてたから、多分作り方を思い出してたのかな。
そんな事を思いながら緋桜を眺めてると、インターフォンが鳴った。
多分先輩たちだと思って立ち上がると、緋桜も着いてこようとした。
「いいよ、緋桜はそれを仕上げちゃって」
そう言ってオレンジの入ったティーポットを指差した。
緋桜はコクンと頷いて置いていた紅茶をオレンジの入ったポットに注いでいた。
俺は先輩たちを迎える為に玄関に向かった。
玄関のドアを開けると、先輩たちが立っていて、それぞれ挨拶をしてきた。
「中村の様子はどうだ?」
佐倉先輩がそう聞いてくる。
「今まで通りとはいかないですけど、大丈夫だと思いますよ」
そう答えると、先輩は『そうか』と言ってホッとした表情を見せた。
そうこうしてる内に、オレンジティーを淹れ終えた緋桜が玄関に顔を出した。
宮藤先輩が緋桜を見つけた瞬間、緋桜の元に走っていった。
いつもの調子で緋桜に抱きつこうとする。
その瞬間、緋桜は体を強張らせた。
それに気付いた宮藤先輩が直前で動きを止める。
先輩は緋桜に寂しそうな笑顔を向けた。
緋桜も先輩に謝って俯いてしまう。
そこから沈黙が流れた。
俺はそんな空気を変えようと手を鳴らした。
「取り敢えず、部屋に移動しましょう」
そう言うと、先輩たちは頷いて俺の部屋に移動した。
緋桜を見ると、緋桜はいまだ俯いていた。
「緋桜、大丈夫だよ」
そう言って、俺は緋桜の頭に手を置いた。
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