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第422話

「ところで、中村は学校はどうするんだ?」 佐倉先輩が不意に聞いてくる。 「もう少し落ち着いたら行こうと思ってます」 「そうか。じゃあ秋哉もしばらくは来ないんだな?」 佐倉先輩がそう言うと、皆の視線が秋哉に向いた。 「……忙しいんですか?」 秋哉がそう言うと、佐倉先輩がニヤッと笑った。 俺はそんな二人に首を傾げた。 「察しが良くて助かるよ」 そう言って笑う先輩に秋哉はため息をついた。 「……来週から行きますよ」 秋哉がそう言うと、宮藤先輩も日向先輩も『良かった』と安堵していた。 俺は秋哉の服の裾をクイクイと引っ張った。 「忙しいって何かあるの?」 「卒業式と入学式だよ」 そう言う秋哉に、俺は更に首を傾げた。 卒業式も入学式も来年、冬休みが終わってからなのに。 「もうすぐ冬休みに入るだろ?俺も初めてだからよく知らないけど、今から準備しないと間に合わないらしい」 「……そうなんだ」 そう言って俺は頷いた。 「……じゃあ、俺も来週から行く」 「大丈夫?」 「……分からない。でも秋哉が一緒なら大丈夫だと思う」 そう言う俺に、秋哉も先輩も顔を見合わせた。 「でもいきなり教室に行くのはちょっと心配ね」 そう宮藤先輩が言う。 「しばらくは生徒会室に通うのはどうですか?」 と日向先輩が言う。 生徒会室に通うって、そんなこと出来るのかな? 「先生たちにざっくり説明して、生徒会室で勉強を教えて貰えれば……」 『どうだ?』と佐倉先輩に聞かれるけど、俺はなんて答えたら良いのか分からない。 俺は困って秋哉を見ると、俺の視線に気付いた秋哉も困ったように笑った。 「取り敢えず、それは後々考えましょう。学校行って、緋桜がどんな反応するのか分からないので」 秋哉がそう言うと、先輩たちは頷いた。 「緋桜も来週俺と一緒に行ってみて、無理そうなら生徒会室ね」 秋哉にそう言われて、俺は頷いた。 その後は学校の事はほどほどに、先輩たちは夕飯もしっかり食べて帰っていった。

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