428 / 452

第424話

(秋哉side) 久しぶりに高橋さんに会うってことで緋桜は緊張してるみたいだった。 車に乗ってしばらく、緋桜を見ると深呼吸を何回も繰り返していた。 大丈夫かと聞くと、緋桜は慌てて大丈夫と返してきた。 でも明らかに緊張してるのが目に見えて、俺は思わず笑ってしまった。 緊張してるのかと聞くと、緋桜は以外にも素直に頷いた。 緋桜は俺たちにコーヒーを淹れたことで、またコーヒーを淹れたいって思ったみたいだ。 緋桜が自分から何かをしてみたいと言うのは素直に嬉しい。 でもさすがにコーヒーを淹れるのは俺には手伝えない。 高橋さんに頼む事にしたけど、緋桜はそれも気にしてるみたいだった。 高橋さんの事だから、緋桜が頼めば喜んで教えてくれると思うけど。 店の前に着くと、緋桜がまた深呼吸してる。何度か店のドアを開ける素振りをするけど、なかなか取っ手に手が掛からない。 どうやら、まだ決心がつかないみたいだ。 緋桜の決心がつくまで待ってても良いんだけど、ちょっと時間が掛かりそうだ。 「緋桜、俺が開けようか?」 そう言うと、緋桜は首を振った。 「……大丈夫」 緋桜はそう言ってもう一度深呼吸をすると、グッと気合いを入れてドアを開けた。 ドアが開くと、カランカランとベルが鳴る。 その音を聞いて、奥から高橋さんが出てきた。 その瞬間、緋桜が少しだけ後ろに下がった。 「高橋さん、こんにちは」 俺が挨拶すると、高橋さんはニコッと笑う。 「こんにちは」 高橋さんは俺に挨拶を返すと、今度は緋桜の方を見た。

ともだちにシェアしよう!