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第426話
(高橋side)
久しぶりに見た緋桜くんは、いつもと変わらないように見えた。
蒼の話では、あの騒動のせいで緋桜くんは人に触れられるのが駄目になってしまったらしい。
確かに木崎くんとの距離が遠いように思える。
それでも、木崎くんとも普通に話しているし、俺とも普通に話してくれる事に一安心した。
「それで、緋桜くんは今後はどうするつもりだい?」
「えっと……明日から学校に復帰します」
「え、大丈夫なのかい?」
そう言って、俺は木崎くんを見た。
「大丈夫なのかは分からないけど、緋桜が行きたいって言い出したので。俺も先輩たちも注意して見てますし、サポートもしていきます。無理そうなら生徒会室に非難するように約束してます」
「そう、それなら安心だね」
木崎くんや蒼がサポートするなら心配は要らないね。
「……あ、あの……」
そんな事を思っていると、緋桜くんが遠慮がちに声を掛けてきた。
緋桜くんを見ると、その目は泳いでいる。
「どうかした?」
「……えっと………青木さんは……?」
「え?」
「……青木さんは、どうしてますか?」
緋桜くんは目を泳がせながらもそう聞いてきて、さすがに驚いた。
まさか青木くんの事を緋桜くんから聞いてくるとは思わなかった。
「青木くんはあの後辞めたよ」
俺がそう言うと、緋桜くんは明らかに落ち込んでしまう。
「……そう、ですか」
言葉は悪いけど、青木くんのせいでこんな事になってるのに、緋桜くんは青木くんの事を心配しているのか。本当にこの子は……
そう思って、俺は息を吐いた。
「青木くんは大丈夫だよ。店は辞めたけど、連絡は取ってるからね」
そう言うと、緋桜くんはホッと安心した表情を見せた。
「……それで、緋桜くんはどうするのかな?」
「え?」
「緋桜くんも辞めちゃうのかな?」
俺がそう言うと、緋桜くんと木崎くんが顔を見合わせた。
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