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第434話
秋哉に連れられて生徒会室に向かう。
そこには、何故か先輩たちも着いてきた。
「何で皆して来るんですか?」
秋哉がそう先輩たちに向かって言う。
「俺たちだって中村の事が心配だからな」
佐倉先輩がそう言うけど、その顔は明らかに違っていた。
「緋桜の事は俺が見てるんで、先輩たちは教室に戻って大丈夫ですよ」
「いやいや、俺たちも着いてくって」
佐倉先輩がニコニコしながら言う。
「大丈夫だって言ってるじゃないですか」
と秋哉はため息混じりに言う。
……秋哉、ちょっとイラついてきてる?
そう思って、俺は二人のやり取りをハラハラしながら見ていた。
「まぁまぁ、良いじゃないですか。俺たちだって、中村くんが心配なのは間違いないですし」
と日向先輩が二人の間に入った。
「そうよ、私たちだって中村くんが心配なの!」
と宮藤先輩も間に入る。
そんな先輩たちを、秋哉はジト目で見た。
「…………………本音は?」
「「「最近忙しすぎるから、ちょっとは休みたい!!」」」
と3人が見事にハモった。
どうやら先輩たちは、俺を理由にサボりたかったみたいだ。
「…先輩たち」
突如、秋哉から恐ろしく冷たい声が聞こえてくる。
秋哉を見ると、先輩たちに満面の笑みを向けている。
俺はその笑みが逆に怖かった。
今度は先輩たちに視線を向けると、先輩たちの顔から血の気が引いてる。
日向先輩と宮藤先輩は佐倉先輩の影に隠れていた。
「いい加減にしないと、怒りますよ?」
秋哉は笑顔を崩さずそう言う。
「お、俺たちが悪かったから、落ち着け、な?」
佐倉先輩が冷や汗をかきながらそう言う。
「じゃあ、大人しく教室に行きますね?」
秋哉がそう言うと、先輩たちはコクコクと頷いた。
先輩たちは秋哉に言われて、そそくさと自分たちの教室に戻っていった。
「ったく、あの人たちは……」
先輩たちが居なくなった瞬間、秋哉はそう言って大きくため息をついた。
「……俺は大丈夫だから、秋哉も教室に行っていいよ?」
そう言うと、秋哉がじっと見てくる。
「俺は緋桜と一緒に居たいから良いの!」
そう言う秋哉に、俺は面を食らってしまった。
どうやら秋哉もサボりたかったみたいだ。
そう思ったら、俺は思わず笑ってしまった。
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