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第437話

次の日、俺は佐々木さんとの約束通り教室の前に立っていた。 「……緋桜、無理しなくて良いんだぞ?」 そう秋哉が言う。 近くに居た先輩たちも心配そうに見ている。 俺が教室の前に立って、既に5分以上が経っていた。 先輩たちも居ることで、少し遠巻きに他の生徒たちが人だかりを作り始めていた。 早く何とかしなきゃとは思うんだけど、なかなか決心がつかずにいた。 俺は目を閉じて大きく深呼吸する。 2~3回深呼吸して、俺はグッと気合いを入れた。 教室のドアに手を掛けて、一瞬躊躇するも、俺は勢いよくドアを開けた。 その瞬間、教室に居たクラスメイトの視線が一気に俺に向く。 俺はその視線に、思わず体が揺れた。 俺はクラスメイトの視線に意識を向けつつ、教室に入って席に着く。 大丈夫、大丈夫。 その自分に言い聞かせるけど、それとは逆に心臓がバクバクいって、呼吸が苦しくなる。 落ち着こうとしてるのになかなか落ち着かなくて、そのせいで更に焦る。 「……緋桜」 俺がパニックになりかけていると、俺を呼ぶ声がした。 見ると秋哉が覗き込んでいた。 「緋桜、出よう」 そう言って手を引かれた。 そのまま手を引かれて連れていかれたのは、やっぱり生徒会室。 でも生徒会室に入った瞬間、気が抜けてその場に座り込んでしまった。

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