440 / 452
第440話
秋哉と先輩たちが自分の教室に戻っていって、俺は生徒会室に一人になった。
…………何しよう。
俺はどう時間を潰せば良いのか分からなくて途方に暮れてしまった。
少し前ならこうして一人で居るのなんて当たり前だったのに。
今はいざ一人になると、どうして良いのか分からない。
いつも秋哉や先輩たちが一緒に居てくれたから……
俺、一人の時は何してたのかな。
もう思い出せない。
俺は秋哉や先輩たちと居るときの事を思い出して自然と笑みが溢れた。
俺は考えた結果、取り敢えず予習をしようと机の上に教科書とノートを出した。
最近では何かと学校に来れないことが多いから、授業に遅れないように予習だけはしっかりするようにしていた。
けど流石に習っていないところを自力で理解するのは限界がある。
家に居るときは佐々木さんが教えてくれたりしてたから、正直すごく助かっていた。
「……おう、緋桜!」
どれくらい経ったのか俺が教科書とにらめっこしてると、いきなり名前を呼ばれて思わず体が揺れた。
声の方を見ると、秋哉が覗き込んでいた。
「……秋哉」
「すごい集中してたね」
そう言って秋哉はクスッと笑う。
俺はどうして秋哉がここにと思って時計を見ると、既に一限目が終わっていた。
「予習してたの?」
そう言って秋哉は俺が書いていたノートをペラペラとめくる。
「…うん、このままだと授業についていけなくなるから、出来るだけの事はしておこうと思って」
「そういえば、家でも佐々木に勉強を教えて貰ってたね」
「うん、煮詰まってたときに佐々木さんが教えてくれた」
俺がそう言うと、秋哉は『そっか』と返してきた。
そんな事を会話をしてると、休み時間終了のチャイムが鳴った。
「……もう行かなきゃな」
そう言って秋哉が少し残念そうな顔をする。
10分ってあっという間だな。
俺もちょっと名残惜しいかも……
「次の授業も頑張って」
俺がそう言うと、秋哉は頷いた。
「うん、次の休み時間にまた来るから」
そう言って秋哉は俺の頭に手を置く。
俺はその言葉に頷いた。
ともだちにシェアしよう!