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第442話
「……なるほどな。で、相談相手が俺だった訳だ」
「すいません、他に相談出来る人が思い付かなくて」
いつまでもこのまま駄目だと思って、何とかしようと思ってもどうしたらいいのか分からなくて、相談しようと思い付いたのが佐倉先輩だった。
俺は秋哉が居ない時に先輩にメールを送った。
迷惑掛けるかもと思ったけど、先輩は快く引き受けてくれた。
授業が終わって先輩が生徒会室に来ると、すぐに生徒会専用の仮眠室に呼ばれた。
それは多分俺が『秋哉には内緒で』と言ったから。
その様子を他の先輩たちも秋哉も不思議そうに見ていた。
「でも、何で秋哉には内緒なんだ?」
そう先輩が聞いてくる。
「……秋哉はゆっくりで良いって言うから。
このままじゃ駄目だと思うのに、秋哉にゆっくりで良いって言われると、それに甘えちゃう」
「……俺も秋哉の意見には賛成なんだけどな。そんなに焦る必要はないんじゃないのか?」
それは分かっている、焦っても仕方ないって。
でも……
その思って、俺は俯いてしまう。
そうすると、先輩からため息が聞こえてきた。
「不特定多数を相手にしようって考えるから駄目なんだよ。まずは身近の人から平気になれば良い」
そう言う先輩を見る。
「……それってどういう?」
「中村の場合、元々人が苦手だったんだ。そんな奴がいきなり他人を平気になろうって言う方が無理な話だ。まずは身近な人から平気になれば良いんだよ」
そう言って先輩は『ふむ』と考え出す。
「そうだな、まずは秋哉を平気になることだな」
「……秋哉を?」
「あぁ、まずは秋哉を平気になって、秋哉が平気になったら他の誰かって順番に平気な人を増やしていくんだ」
「………それで上手く出来ますか?」
そう言うと、先輩がフッと笑った。
「中村はそれを一度成功させてるだろ?今回だって大丈夫だ」
先輩にそう言われて考えてみるけど、俺にはよく分からなかった。
「……でも、何で秋哉が一番なんですか?」
「中村は秋哉に触りたくないのか?」
そう言われて、思わず色々思い出して顔が熱くなる。
そんな俺を見て、先輩がクスクスと笑う。
「中村に関しては秋哉が一番最初!じゃないと秋哉が拗ねる」
「………拗ねるんですか?」
「拗ねる!確実に拗ねる!例えば秋哉より先に俺が平気になってみろ、秋哉に何されるか分かったもんじゃない」
「……何もしないと思いますけど」
「中村は秋哉の事を何も分かってない!あいつは独占欲が強くて、嫉妬深いんだ!だからあいつが一番最初じゃないと駄目なんだ!この際、他はどうでもいい。秋哉の事だけは平気になれ!」
先輩はこぶしを握って力説する。
………秋哉は先輩にいったい何をしたんだろう。
「………がんばり、ます」
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