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第445話
突然手を掴まれたかと思ったら、何故か秋哉が俺を見下ろしていた。
さっきまで、秋哉は俺の横に居た筈なのに……
俺は一瞬の出来事で、その状況が理解出来なかった。
「そんなに触りたいならいくらでも触って良いけど、緋桜も覚悟してね」
そう言って秋哉が俺の頬に触れる。
俺はその手に、思わず体が揺れた。
徐々に近付いてくる秋哉の顔に、体が強ばって俺はギュッと目を閉じた。
俺が目を閉じてると、ピシッと額に軽い衝撃が走った。
閉じてた目を開けて秋哉を見ると、秋哉がフッと笑う。
その後、秋哉はゆっくりと体を離した。
秋哉が離れたことで、俺も衝撃の走った額を押さえて体を起こす。
何をされたのかいまだに分からなくて、頭の中ではハテナマークが飛び交っていた。
そんな俺を見て、秋哉がクスッと笑う。
その後また手を伸ばしてきた。
俺は何をされるのかと身構えると、またピシッと額に衝撃が走った。
……デコピン?
さっきもデコピンをされたのか?
俺はデコピンされた額をさすさすと撫でてみる。
本当に軽くだから全く痛くない。
俺は訳が分からなくて秋哉を見ると、秋哉は少しムスッとした顔をしていた。
「お仕置きだよ。全く、ゆっくりで良いって言ったのに、あれだけくっつかれたら正直俺が困る。俺だって緋桜に触るの我慢してるのに、あんなことされたら我慢できなくなるよ」
俺はまだちょっと意味が分からなくて、思わずポカンとしてしまう。
そんな俺を見て、秋哉が少しイタズラっぽく笑ってみせた。
その後、秋哉の顔が耳元に近付いてくる。
「今回は我慢してあげたけど、次は遠慮なく寝室につれてくからね」
そう耳元で囁かれて、ようやく意味を理解した俺は途端に顔が熱くなった。
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