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第451話 秋哉
『一緒に寝ようか?』と聞くと、緋桜はまた泣き始めた。
俺の手をギュウと握ったまま小さく頷いた。
時間も時間で寝ようと思ったけど、緋桜がなかなか泣き止まなかった。
俺は緋桜が落ち着くまで、抱き締めて背中を擦った。
緋桜の背中を擦っていると、緋桜の体から力が抜ける。
見ると緋桜は寝息を発てていた。
俺は眠ってしまった緋桜をベッドに運ぶと、俺もその横に寝転がる。
俺は横で眠る緋桜の頭を撫でた。
さっきまでは普通だった。
まぁ、必要以上にくっついてきてはいたけど、それは先輩に言われたからだ。
不安がってる様子も無かった。
緋桜自身にも思うところはあるんだろうけど、不安にさせてしまったのは俺のせいだろうな。
そう思って、俺はため息をついた。
緋桜から寄っては来ていたけど、俺からは寄っていくのは控えていた。
緋桜が怖がるから。緋桜を怯えさせないように。
そんな理由で緋桜を避けていた。
緋桜の為と言いながら、本当は自分の為だった。
緋桜に触れると、どうしても押さえられない自分が居る。
俺自身、緋桜に触れると箍が外れて緋桜に無理矢理してしまいそうな気がする。
それだけはどうしても避けたかった。
でもその行動が緋桜を不安にさせていたのかもしれない。
俺はそう思いながら、緋桜の髪を弄った。
そうすると、緋桜がすり寄ってくる。
俺はそんな緋桜を見て、自然と笑みが溢れた。
俺は色々考えるのを後にして、久しぶりに緋桜を抱き締めて眠った。
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