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第457話 秋哉
「……我慢?」
緋桜は意味が分からないみたいで首を傾げる。
本当は言うつもりなんてなかった。
言えば緋桜を困らせることは分かっていた。
でもやっぱり限界だった。
「俺は緋桜に触りたい」
そう言って俺は緋桜の頬に触れるか触れないかの位置に手を伸ばす。
緋桜はその手にも一瞬ビクつく。
その後緋桜は申し訳なさそうに見てきた。
「俺は緋桜を触りたいし抱き締めたい」
そう言うと、緋桜の目が泳ぐ。
「………触りたいなら、触っても良い」
と緋桜は俯き気味にボソッと言う。
「……我慢なんてしなくて良い。触りたいなら触ればいい」
俺はずるいな。緋桜ならそう言ってくれると思ってた。
緋桜は自分のことは二の次で俺の事を考えてくれてる。
緋桜が虚放らないことを分かってて俺はそこに付け込んでしまう。
「うん、でもね 、俺は緋桜にも我慢はしてほしくないんだ」
そう言うと、緋桜はじっと俺を見る
「だからゆっくり慣れていこう。俺も緋桜に触れていこうと思う。嫌なら逃げてくれて構わないから、それでもちょっとづつ触れていく」
俺がそう言うと、緋桜は小さく首を振って俺の手に触れた。
「……嫌なんて思わない。逃げない」
そんな緋桜を見て、思わず笑ってしまう。
俺は緋桜が怖がるからって理由で緋桜を避けてた。
でもそのせいで緋桜に寂しい思いをさせてしまった。
でも本当は俺が我慢出来なかったから。
「まずは手始めに一緒に寝ようか」
そう言うと緋桜は少し驚いた顔をする。
「毎日じゃなくて週に2、3回くらい。緋桜が寂しくならないように」
「……俺は、毎日でも良い」
緋桜が少し顔を赤らめて俯き気味に言う。
「うん、それは俺が無理かな」
そう言うと、緋桜が少し傷付いた顔をする。
「俺も毎日緋桜と一緒に寝たいけど、緋桜を襲わない自信が無い」
俺がそう言うと、緋桜はきょとんとした後『ふっ』と吹き出した。
「なにそれ……」
そう言って緋桜はクスクスと笑う。
笑う緋桜を見て、俺も自然と笑顔になっていた。
俺たちはその後もしばらくこれからの事を話した。
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