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第459話
生徒会の仕事も取り敢えず一段落して、俺と秋哉は久しぶりに『ノワール』に来ていた。
「高橋さんに何も言わずに来ちゃったけど、迷惑じゃないかな?」
「閉店後だし、大丈夫だと思うよ。それにもし都合が悪ければまた日を改めれば良いんだし」
そう言って秋哉は笑う。
高橋さんにまたコーヒーの淹れ方を教えて欲しいと頼んで、それきりタイミングが合わなくてなかなかお店に顔を出せなかった。
家ではたまに淹れてるけどそんな頻繁じゃないし、ここ最近では淹れる時間も無かったから鈍って下手になってるかも。
若干不安になりつつノワールの前まで来ると、店の中を覗いてみた。
……明かりはついてるけど高橋さんが居ない。スタッフルームに居るのかな。
中を覗きながらそう思っていると、秋哉が迷い無く扉を開けた。
その瞬間、ドアベルがカランカランと鳴った。
「秋哉、勝手に入ったら…」
「大丈夫だよ」
そう言って秋哉は店の中に入っていく。
俺もそれに着いていった。
「すいません、もう閉店して……」
ドアベルが鳴ったことで、お客さんと間違えたのか、そんな事を言いながら奥から高橋さんが出てきた。
「………緋桜くん」
出てきた高橋さんは俺を見て驚く。
「突然すいません。少し時間があってので依らせて貰ったんですけど……」
そう秋哉が高橋さんに向けて言う。
「あ、いや…それは構わないんだけど、今は………」
そう言って高橋さんは頻りに店の奥を気にする。
やっぱり連絡も無しに突然来たのは迷惑だったんじゃ…
「あ、あの……都合が悪そうなのでまた別の日に……」
「一真さん、お客さんなら俺もう帰っ……っ!?」
俺が『出直す』と言おうとした時、奥からもう一人出てきた。
俺はその人を見て驚いた。
その人も俺を見て驚いた表情で固まってしまった。
「………青木さん」
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