3 / 14

第3話

男同士でも他人の服の中は、恥ずかしくて落ち着かない。 (ちょっと!何で服の中に入れるの?恥ずかしいって…。) 「何だ?…一丁前に恥ずかしがってんのか?」 (えっ?今言葉が通じた??) 「そんなに驚く事ないだろ?同じ獣人なんだから。」 「えっ?その仔犬…獣人の子なのか?」 驚いたように全員が僕を懐に入れる男性を見た。 僕も驚き何だけど…。 (そもそもジュウジンって何?) 「ジュウジンは獣人。人間と動物の合の子だ。因みに俺は黒猫の獣人だ。」 あぁ!それでネコって呼ばれてるのか…。って、他に付ける名前なかったのかな?そのまま過ぎない? (…じゃあ、その内僕も人間の姿に戻れるって事?) 「…あ?まぁ、素質にもよるけどな…。 獣人でも俺みたいに完全に人間の姿になれる奴と、人間の姿になれても獣の部分が僅かに残る奴もいるからな。」 (ふーん…。でも練習してたらできるようになる?) 「どうだろうな?…それよりお前、名前は? 獣人の子なんだから一応あるとは思うけど。」 (僕の名前は、小豆。) 「ふっ、あずき…ね。小さい豆って書くあの小豆か?」 (…だったらなんだよ!人の名前笑わないで。) 「ごめん、ごめん。見た目と名前が合いすぎてて…。」 クククッと笑いを噛み殺しながら謝られても、ムカつくだけだっ!! 医者や助けてくれた伊織から見たら、今の僕たちの会話は犬の鳴き声と、ネコの独り言のように聞こえてるんだろうな…。 ここは獣人とかが住むファンタジーな世界みたいだし。 それならアレは使えるのかな? ファンタジーと言えば!のね! (この世界って魔法とかあるの?) 「…魔法?何だそれ?」 意味が分からないって顔をされた…。 でも言葉は分かるし、それに漢字まで共通していた。 もしかしてここは異世界みたいに完全に違う世界じゃなくて、どちらかと言うとパラレルワールドみたいに共通箇所も存在してる世界なのかも…。 「そろそろ点滴終わりだね。身体も温まった?」 医者に話しかけられ、ネコの襟元から顔を出した。 「…可愛い事しやがって。」 「本当に可愛いなコイツ。…名前何だっけ? あぁ…小豆だったな。」 みんなに覗き込まれ恥ずかしくなり、慌てて服の中に隠れた。 点滴が終わりようやくネコの懐からも解放され、トイレスペースに連れて行かれた。 トイレシートが敷いてあるその場所に下ろされ、点滴の後だと言うこともあり自然と尿意を感じてしまう。 ヤバい…。こんな所でしたくない。 幾ら犬の姿をしていても、人前で用を足せる訳がない…。 だけど込み上げる尿意を堪える事が出来なかった。 ショロ…ショロロロ…… はわあぁ。あ~、スッキリした。 用を足した後は、心做しか余裕も生まれ、恥ずかしさなんてどこかへ吹っ飛んでいた。 だから後ろ足でサッサッと砂をかける仕草をした自分すら受け入れていた。 「よしよし!トイレ上手にできたな?」 伊織は、頭をわしゃわしゃ撫でながら褒めてくれた。 「伊織、連れて帰るならシャンプーしてから帰る?ドッグバス貸すよ。」 「そうだな。シャンプー剤どんなのがある?」 何なに?これからシャンプーされるの??

ともだちにシェアしよう!