今にも挿入しちゃいそうな腰付きのりっくんを後ろ手に止めると、背中の重みが無くなって体が軽くなった。 　反応した僕のモノが押しつぶされて痛かったし、あのまま勢いに任せて挿れられちゃうのは普通に怖い。 「りっくん……？」 　止められて良かったと安堵した僕の背後で、黙ったりっくんがゴソゴソと何かをしている。 　振り返ると、白衣のポケットからコンドームを取り出して開けてるところだった。 「あ……ゴム着けてくれるの？」 「もちろんですっ。俺の体液は君の直腸を脅かすらしいので」 「……それくらい、……いいのに」 　女の子じゃあるまいし……。 　お腹壊すぐらいどうってことない。生の方が気持ちいいって、男はみんなそう言ってるのに。 　生真面目なりっくんは僕の体を気遣って、大好きなトーンで「こら」と叱った。 「冬季くんのためです。初めてですと、おそらく全部は入らないでしょうし……焦らずいきましょう」 　ぷぷっ……！　「挿れたいです！」と必死だった人がよく言うよ。 　僕のお尻にご立派なブツを擦り付けてきといて、あれが煽りじゃなかったら何なの。 　慣れた手付きでコンドームを装着してる様を複雑な思いで見つめていた僕は、りっくんの限界発言と苦しいキスで気持ちはすでに昂っている。 「焦らずいくのはいいんだけど、りっくん……。僕、一回イかせてほしい、かも……」 　僕の願いを叶えようと、白衣を着たままのりっくんがズボンの前だけを開けてやらしく猛ったモノを握ってるんだ。 　りっくんが限界だって言う前に、僕はそれ以上に我慢を強いられてるってことを分かってほしい。 　ナカにはまだ、りっくんの指の感触が生々しく残ってる。舐められた乳首はずっとシーツで擦れていて、庇いたくなるくらいヒリヒリしてる。 　そんな状況で二回も寸止めを食らった僕は、ゴクっと生唾を飲み込むほどのブツを前に心臓が張り裂けそうなんだよ。 　このまま挿れられちゃったりなんかしたら、僕は……。 「りっくん、……お願いっ……」 「可愛いおねだりですね……たまりません」 「そうじゃなくて！　僕は本気で……っ」 「ナカで俺と一緒にイきましょうよ。素晴らしい高揚感と興奮を味わえるらしいですよ？」 「えっ、そ、それホント？　そんなに気持ちいの？」 「俺に散々焦らされて可哀想な冬季くん……。欲望に逆らえない俺を笑ってくれて結構です。……ほら見てください、俺のがこんな事に」 　薄いゴムが装着されたモノを、りっくんが苦笑いしながら僕に見せつけてきた。 　りっくんと一緒にイく……素晴らしい高揚感、興奮……。 　手のひらでイかされるよりも、りっくんの言い草からしてそれはそれはスゴそうだ。 　僕のナカにあんな太くて長いの入るのか分かんないけど、一緒にイくってすごくいい響きだ。 　単純な僕は、賢いりっくんに射精をはぐらかされた事に気付けないでいた。 「見ていただいた通り、こうして触れているだけで達してしまいそうなんです。ここまで大きくなったのは、君が口で奉仕してくれた時以来かと」 「りっくん、……堪え性無いね……？」 「さっきからそう言ってるでしょ。みっともなく騒いで申し訳ないのですが、挿れたいものは挿れたいんです」 「あ……っ！」 　不必要な会話をして無意識にその時を遅らせようとした僕の魂胆を、欲情したりっくんは拾ってくれなかった。 　後ろ髪を撫でられてうっとりしかけた僕のお尻に、ぷにっと丸みのある先端が押し当てられる。 「痛かったら……言ってください」 「う、んんっ……！」 　りっくんがそう言って僕の腰を掴んですぐ、ぐにゅんと先端を入れ込まれた。 「んっ……くっ……っ、……っ！」 　く、苦しい……！！　それに熱い……！ 　アナルが限界まで拡がってるのが分かる。 　たっぷり濡らして解してくれてるのに、裂けちゃってるんじゃないかってくらい入り口が熱かった。 　りっくんは、僕が呻くとそのたびに動きを止めてくれる。 　無理に入ってきてる気はしない。それどころか、先端さえまだ全然入ってないと思う。 「んく……っ、うう……っ！」 　こ、これが……挿入……っ！ 　僕はひっしと枕にしがみついて、ほんの少しの痛みと、確かな熱を持った男性器に恍惚としながら歯を食いしばった。