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甘い痛みは支配する *

「あ、っ…!」 帰宅後、まだ鞄も置いてないのに、僕は玄関の横の壁に押し付けられる様にして俊くんに首筋を甘く噛まれる。ふるりと身を震わすほどの高揚が、犬歯を皮膚に食い込まされる度に沸き立つ。 オメガにとって、アルファのマウントは求められていると確かめる手段の一つだ。嬉しくないわけがない。 あぐあぐと首筋や耳を噛まれながら、スラックスの裾からシャツをむりやり引き出した俊くんが、裾から手を押し付けるように撫であげて侵入する。 やがてたどり着いた右手の中指と人差し指で胸の突起を挟まれると、もうだめだった。 「ふぁ、っ…しゅ、んく…っ…」 ひくん、と身を震わした僕をみて目を細めると、そのままシャツをめくり挙げられて熱くぬめる舌と唇で胸に吸い付かれる。腰から響くような甘い痺れは、先程から僕の下着をひっきりなしに汚す。 学校でも簡単にしか拭けなかったのに、また。 我慢できずに壁に背を持たれかけながらずるずると体制が崩れていく。 「ぁ、っ…しゅん、…おねが…い、っ…」 ぺたんと床に座り込んでしまう。腰砕け状態の僕は、今すぐマーキングをしてほしくて、見下ろす俊くんの眼の前で、かぱりと口を開ける。 その様子に目を細めると。顔にかかる髪を、まるで頬を撫でるように耳にかけられる。 僕は我慢ができなくて、俊くんの掌をぺろりと舐めた。 「ふ、今やるから…落ち着け。」 「んっ…、」 ぺしょぺしょと手の平を舐める僕を見つめながら、開いてる片手でスラックスのジッパーを下げる。 金属的な音が呼び水となって、下着の内側を先走りで汚すと、ああ、今日二度目だなんて思って情けなくて少しだけ目の奥が熱くなる。 前を寛げた俊くんが、僕の目の前で性器を取り出す。そっと大きなそれに擦り寄ると、根本から先端までを撫でるようにそっと手を添えた。 「きいち、手は使うな。口だけあけてろ。」 「ふぇ、…」 「怪我してんだろ。ほら、あーん。」 「んぁ、…あー‥ぅ、く…」 俊くんが僕の手を性器から外す。言われるがままに口を開いた僕の両頬を優しく手で包むと、そのまま先端を舌に押し付けるかのようにして性器を口の中に入れた。 「ん、ぷぁ…ぁ、く…っ…」 「っ、唾液は全部飲むな。辛くなるだろうから鼻で呼吸しろ、な?」 「ん、ぶ…っ…„」 喉をそっと手で撫でられて、くぱりと奥がひくつく。喉の奥も入れやすいように開いてそっと顔を、茂みに埋める様にゆっくりと飲み込んでいくと、少しだけくるしく、じわりと涙が滲む。 「ん、そう…えらいな、きいちはここも、上手に開けるのか。」 「ん、く…ンん…ぉ、あ…」 「はー‥、すげ、…そう、そのまま…」 優しく手で甘やかすように喉を撫でられ、あふれる唾液をだらし無く垂らしながらゆっくりと頭を動かす。熱い性器が僕の口内で膨らむだけで、先端から滲む俊くんの味に興奮してぴゅくりと漏らす。 「ふ、…顔真っ赤…」 「ん、ふぅ…ぅ、っ…んぶ、っ」 「は…、…かわい、」 じゅる、ずず、っ。そんなはしたない音を立てながら、舌を使ってその熱い幹を膨らませては、下着からは粘着質な音が微かにしてしまうくらいにはべたべたになっていた。 上顎を撫でるように、ずるり、と性器がなまなましく腔内を擦る。顎がつかれるくらい大きなそれを必死で頬張りながら、喉を甘やかすように外から撫でられる。 「く、…ほら、喉開け…」 「あ、くぁ…っ、…っん、んくっ…!」 小さく息を詰めた俊くんが、そのまま口の中に粘度の濃い精液を喉奥に流し込むと、舌の上で白濁をこそげ取るように何度も舐めて綺麗にした。 口に溜まったそれをごくりと飲み込む。少しだけ飲みきれなかった白濁が口端から溢れたのを、親指ですくうようにして口の中に押し込まれる。 「ぁ、はは…かわい…うまいか?」 「っ、く…ん、んぅ、あ、…っ…」 飲み込んだよ、褒めて。そう言葉にしなくても、口を開くだけでいい。僕の従順な様子に満足そうにわらうと、目尻の涙をそっと親指で拭われた。プシャ、と、今度こそ解りやすく漏らしてしまい、恥ずかしい染みを広げる。 「制服、汚れるから脱げ。」 「あっ、…」 そっと顔を離され、追いかけるように舌を伸ばしてしまい笑われた。ぶわりと耳まで顔が熱くなる。仕方ないのだ。俊くんの性器を舐めるとふわふわ浮くような感覚に落ちて、何も考えられなくなる。 言われるがままに制服を脱ごうと視線を向ければ、たしかにそこの色を変えるくらい漏らしていた。 「ひ、んぅ…やだぁ…っ、」 「ほら、脱いだら抱っこでベッド連れてってやる。」 「ぁい…、」 座ったまま、もぞもぞとスラックスを脱ぐ。履いていたボクサーは、中心をしとどに濡らして白いものが生地からにじむ様にして垂れていた。足に力が入らない。ぺたんと座ったまま両手を持ち上げると、そのまま持ち上げるように抱き上げられた。 「俺の飲んでイった?」 「うん…はぁ、しゅん、…すき…」 「ん、きもちくなろうな…」 ベッドまで運ばれると、ちゅ、ちゅ、とリップ音をたてながら、時折吸い付くようにして粘膜を楽しむ。そのまま乗りあげる様にして跨がってきた俊くんが、男らしく服を脱ぐ。乱雑にシャツもインナーもまとめて脱いで晒されたその腹筋は、僕がどんなに頑張っても手に入らないもので、少しだけ羨ましい。なんとなくぺたりとそのお腹を手で触れると、くすりとわらって掬い取られて指先にキスをされた。 「僕も、腹筋ほしいな…」 「きいちはそのままでいいよ、細いのに軟っこい体が俺は好きだな。」 「んっ、」 大きな手で下腹部を撫でられる。ひくんと期待して 収縮した後ろが恥ずかしくて、膝をすり合わせてしまう。 「足開いて、くっつきたい。」 「うぅ、っ…」 大好きな手がそっとからかうように内腿に挿し込まれる。いとも簡単に開いてしまう僕の足が、俊くんを閉じ込めると、満足そうに笑った。 すごくかっこいいのに、かわいい。僕の番はずるい。 「はぁ、…」 首筋に鼻先を押し付けられ、きつく抱きしめられながらかぷかぷと甘噛みされる。その刺激だけで先走りを零してしまう僕の性器は、さっきから俊くんの腹筋の筋に沿って汚してしまう。時折ふれあう先端が、興奮をしていることを伝えてくる。やけどしそうな程熱いそれを、俊くんもときおり内股に挟むようにしてこすりつけてくるので、蕾もすっかりどちらのかわからない粘液で濡れていた。 「きいち、噛んでいいか…」 「ん…いいよ」 男らしい手が再び足を開かせると、太い指がにゅくりと、一本中に差し込まれる。思わず息を詰めて締め付けると、がぶりと、先程の甘噛みとはちがう強さで肩を噛まれた。 ひりつくような痛みに縁取られた甘い感情が体を正直にさせる。 縋り付くように、俊くんの背に両腕を回してその先をねだった。

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