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隠さないで **
あの日、新庄先生から言われた言葉がぐるぐると頭の中を巡る。何かと言われれば、開き直るしかない。母乳がでるかもしれない、乳首は刺激しちゃいけない、セックスしてもいいよ、生はだめだよ。
俊くんは腕の中でスヤスヤと眠るきいちの顔を見つめる。腹も膨らみ、胎動も日々増えていく。元気に育っている息子が産まれる前から既に愛おしい。
柔らかな癖毛を避けて額に口付ける。鎖骨あたりに感じるきいちの寝息がくすぐったい。
「…。」
ふにり、といたずらな右手が柔らかなきいちの尻を揉む。長い手指で覆い隠すように小振りな尻を鷲掴むと、そのままもにもにと感触を楽しむ。
「くそ、いてぇ…」
この間、つい言葉が過ぎてお預けを食らってしまったのだ。その日から夜になるとムラムラとしてしまい、今日も別の息子が非常に元気に主張する。
寝ているきいちの顔を見ながら抜くのはもったいない。何なら顔に出してやりたいし、本音は中に出したい。だけどそんなことを身重のきいちにすることはできないと思っていたのだ。それなのに。
ーセックスしていいからね、避妊すれば。
新庄先生の余計な一言がなければ、あと2ヶ月は堪えられたかもしれない。ぐっ、と眉間にシワを寄せると、我ながらまじで我慢がきかねーなと自覚しつつ、慰めるためにする悪戯は許してもらおうと、そっと抱きまくらと位置を入れ替えた。
「すまん。抜くだけだから…ちょっと我慢な。」
聞こえていないかもしれないが、小さく謝ってからきいちの履いているスウェットの隙間から手を差し入れる。
体温が高くなったせいか、暑いと言ってもっぱらショートパンツで寝ているせいで、今日も艶かしい白い足が絡まってきて理性が悲鳴を上げていたのだ。
大きな手をそっとショートパンツに差し入れると、生地を持ち上げてまろい尻を見やすくした。股に溜まった生地に皺がより、いやらしい。はぐ、と尻たぶを甘噛みすると、ぴくりと尻が震えた。
「っ、…はあ…」
「ぁ、?」
べろりと尻を舐めあげ、下着ごと生地をずらす。尻を両手で開くと、前よりも少しだけ窄まった赤い蕾がひくんと外気に触れて震えた。
前に少しだけ指を入れたときも狭くなっていた。きっと長い期間挿入をしていなかったのだ、狭くなっているに違いない。性器をねじ込んで揺さぶりたい気持ちを抑えながら、尖らせた舌先でそこを舐める。
濡れた舌先がくすぐる度に、ひくんひくんと反応を返すそこが可愛い。チュ、と音を立てて吸い付くと、びくりとはねた太腿が俊くんの顔を柔らかく挟んだ。
「っは、くそ…可愛い。」
「ぁ…んん、ぅ、…?」
「ふふ、」
深く口付けをくり返すように内壁を舐めていく。ちゅう、と舌に吸い付くように内壁が収縮し、引っ掛けるようにして舌を抜くと、はくはくと呼吸をするように綻んだ。
会陰をべろりと舐めあげる。ぷるんとした袋に吸い付くと、びゅるりと先走りが漏れ、じわりとパジャマに染みた。
「……、」
じわりとしみるグレーのショートパンツが酷くいやらしく見える。俊くんの頭の中は完全に熱で浮かされ、眠っているせいでくたりとしているきいちの無抵抗な体を好きにするというのは、なんとも背徳感がある行為だった。
節ばった手が、そろりとタンクトップを押し上げる。きいちが見られたくないというように隠す膨らんだ腹部も外気に触れる。俊くんは布団を自分の背にかけると、きいちに覆いかぶさった。これで少しは寒くないだろうと、薄い腹が丸く膨らんで臍をぽこりと押し出しているそこへ口付けた。
「びっくりしねぇようにするから、ごめんな。」
我慢できない父親で悪いな。そう謝って口付けをすると、優しく腹を撫でた。そのままたくし上げるかのように、そっと両手を使い素肌を撫で上げるようにしてタンクトップを押し上げる。
「…ん?」
「ぁ、は…」
くんっ、と親指の先に馴染みのない感触をまとった乳首に触れた。なんだこれはと、指の腹でさりさりと撫でる。ふと、新庄先生の声が脳内に再生された。
乳首の刺激はあんますんなって言ってたっけか。
ならば見抜きでもするかとペロンとタンクトップを捲ったとき、目に飛び込んできたものに俊くんは固まった。
「は…なんだ、これ…えっろ…」
胸の突起が擦れるのが嫌だとは言っていた。だがしかしまさか絆創膏でカバーしているとは思わなかった。たしかに粘着しているので剥がれはしないだろうが…。と、せっかく貼られたにそっとふれる。
「ん…っ、」
「はっ、」
いかんいかんと慌てて手をどける。ひくんと肩が震えたきいちの首筋に舌を這わせ、耳を甘く食む。
指先に触れた絆創膏のまわりを甘やかすように優しく撫でながら、口端からこぼれていた唾液を舐め取る。
薄く開いた唇に舌を差し込むと、性器を取り出してそっときいちのショートパンツの裾から侵入させた。
「っ、んん、んぅ、…?」
「ン、」
「っあ?んえ、わぁ…っ!」
ぬるりと絡められた舌に薄ぼんやりと反応したきいちが目を覚ます。俊くんに覆いかぶさられたまま、性器が内腿に擦り付けられている状態に一気に顔を赤らめた。何事かと口を開こうとして、深く唇を重ねられれば、ひくんと身を震わせながらゆるゆると腕が首に回った。
「ふ、あ…しゅ、んぅ…」
「きいち、ごめん。」
「んゅ、ふ…」
「シたい。」
顔を赤らめながら、服を乱されても抵抗もなく甘えるように首筋にすり寄ってくる。それを是と捉えて、その滑らかな背に手を回してそっと撫でた。
「んぁ、っ…」
「ここ、きもちいな…」
「あん、ま…ぉく…だめぇ…」
にゅく、と一本だけ挿入された指で前立腺を甘やかす。触れてなかったせいで凝り固まったそこをぐにぐにとマッサージしてやれば、ぷくりと生地から先走りが滲み出てしみを作る。幹に沿って流れたそれをこそげ取るように、性器を裏筋にあてて先端でなぞるようにして擦り付ければ、ぴゅるりと吹き出すように精液をこぼした。
「ぁ、ぁ、でて、ぅ…っ」
「びちょびちょだな。きもちいか?」
「きも、ひぃ…っ…ぁっ…」
にゅち、ぐちっ。先走りの泥濘を撫で付けるように内壁を擦る。なかはひくひくとひくついており、時折痙攣しながら指に甘えるように絡みつく。
きいちの細い手で性器を握らせながら、熱い吐息を漏らす扇情的な姿を目に焼き付けた。
「ここ、隠してんの…かわいいな。」
「んぇ、あ…や…!」
胸元に舌を這わせれば、自分の突起を隠していた存在を思い出す。恥ずかしそうに服で隠そうとした手を止めると、ぺろりとその端を唾液で濡らした。
「隠されてると、見たくなる。」
「ぁ、う…そっ、だめ、っ」
あぐ、とかすかに捲れたそこを歯で摘むと、ピッと音をたてて無粋な絆創膏を剥がした。
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