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第7話
彼女の日記
○月□日
死にたいというより、消えたいのほうが近い
やり直したい、っていう気持ちが強い
もっとちゃんと、自分の悪いところを見ていればよかったのに
神様から見た私は、どんな人間なんだろう
△月×日
教会の窓を割った
でも誰も怒らない
花をちぎった、シスターの手を振りほどいた
払った手が窓ガラスを割った
それでも怒らない 追い出さない
怒ってほしかった
○月☆日
家のポストに殺人予告がとどいた
何回目かおぼえてない
お母さんがノイローゼで入院した
お父さんはかろうじて会社に行ってる
ニュースで私の話をしているらしい
顔は出ていないけど、気づいてる人はいる
近所の人たちが私を見ると目の色を変えてひそひそ話し合うし
当たり前の事
悪い事をしたから当然の報い
親が苦しんでる間、
私はなにもしてない
ただ二人の重荷をしてる
なんなんだろう
■月×日
死ぬのはこわい
だけど生きるほうがもっと怖い
これといった長所もないし
☆月※日
同い年の子が結婚したらしい
近々家も建てるらしい
羨ましい
周りに当たる光が強いほど、自分がどんどん虫けらみたいに感じる
人の門出を祝えない
自分が置かれてる境遇と勝手に比べて勝手に落ち込んで勝手にひがんでいる
小さい頃からそうだった
友達は誕生日に色んな人からプレゼントを貰ってるのに、自分は全然貰えなかった
それは自分の性格が悪かったからだと思う
今更こんな事考えても遅いのに
▼月☽日
何がこんなにむなしいのか考えてたら日が暮れていた
同い年の人の出世や昇進を妬んだり、
ひがんでばっかりだった
他人の努力を讃えずに、ずるいずるいとねたみ続けた
ひねくれた自分の心が本当に嫌いだと思った
自分が褒めてもらえないのは他人を褒めないからなのに
★月●日
蟻の話を聞いた
安心したような不思議な気持ちになった
聖人君子なんかいないんだと、ほっとしたような気持ち
いるわけないんだな
皆、なんかしらの汚点を持っているのかもしれないと思うと、
なんとなく、自分だけじゃないんだな、みたいな、
うまく言い表せない気持ちになる
自分がしたことが許されるとか、罪が軽くなるとか、
思っていないけど
人に言いたくないような、言えないようなことを自分以外の人間も
持ってるのかもしれないって
そう考えることで、何かが軽くなるような気がした
神様は、私のこの気持ちを知ったら、どう思うんだろう
怒るのかな
×月◎日
花は悪口を言わないから可愛い
悪口を言わない人はそばにいても怖くない
でも本当は私の事が嫌いかもしれない
言わないだけで大嫌いなのかもしれないから、
本当の意味で仲良くなっちゃいけない
でも神父さんやシスターと話すのは楽しい
まだ、自分は人並みに生きていけると思ってるのかもしれない
ばかみたい
◆月▼日
花がきれいに咲いたから
窓ガラスも綺麗に戻したから
私の頭の中も片付いたから
もう終わりにしていい
さようなら
ありがとうございました
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