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夏祭りについて
今は7月。
お祭りの時期なんだけれど。
「悠眞!お祭り一緒に回らない?」
「皐太くん?え?・・・いいけど、どこのお祭りなの?」
「学園のだよ。あ、そっか。
悠眞遅れて来たから説明会で聞いてなかったんだっけ」
「あ、うん・・・」
「まあともかく!!俺と一緒に回ろ?」
「うん、いいよ」
そんな時に現れました。
「悠眞」
誰が?
「はい?・・・あ、長谷川先輩。どうかされましたか?」
安定の、先輩です。
「・・・俺と、学園の祭りを2人でまわらないか?」
うそ。・・・えええ。
「えっと、その・・・、僕もう皐太くんと今約束しちゃって。
3人でなら大丈夫なんですけど・・・・」
「っ・・・ていうか先輩風紀委員長なんですから見回りしなくていいんですか?」
「交代交代だから大丈夫だ。
ちゃんとまわる時間は充分にある」
「でも、俺は悠眞と2人でまわりますから」
「・・・・・・・・・クソ」
そんな僕を挟んで言い合いされても・・・。
困る、だけなんですけど。
・・・それだけで終わった今日は良かったのに。
クラスの子から祭り開催日が近づくにつれ、次々と「一緒に行きませんか」と言われる日々。
その度に「皐太くんと約束しているので・・・」と丁重に、そしてざっくりとお断りをしたらその人たちは皐太くんを睨む始末。
「なんか、ごめんね・・・僕のせいで」
「ううん、これくらい平気だって。
これでようやく悠眞と行けるって実感湧くしさ。
なんか独占欲ってゆーか?・・・なんか、いい。
それにしてもやっぱり、悠眞はモテる」
モテる?・・・僕が??
「ないないない」
「そんなことないって。だってあんなに申し込みされてたじゃんか」
「あれはみんな罰ゲームだよ。
じゃなきゃ僕なんかに申し込まないから」
「あんだけの人数がいるのに全員罰ゲームって・・・どうなってんの、悠眞の思考」
「普通・・・じゃない?」
「なんつーか・・・、うん。おもしろい」
「そう、かなぁ・・・」
「おおおおおおおおおおおおい!!!!!!」
「うわ、来た」
「悠眞、顔」
「あ、ごめんごめん」
そう、ものすごーく大きな声で割いってきたのはあの子。
「はるまはるまはるまああああああ」
「ど、どうしたの凪沢くん・・・」
なんか近いし、気持ち悪い。
走ってきたのか。それとも獣のように何か興奮しているのか鼻息が荒い。
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