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焼き鳥

「お、らっしゃ~い」 「焼き鳥1パック下さい」 多分、僕1人で1パックも食べられないだろうから皐太くんと半分こ。 それでもちょっとしかお金出してないけど。 「あれ、お嬢ちゃん?・・・でもここ男子校なはずだしなぁ」 「あの、僕男です・・」 「あちゃちゃ、・・・見間違っちゃったね~。 オジサンのこと許してくれない? お礼にもう1パックおまけしといてあげるから」 オジサンは頭を掻きながら笑顔で言った。 このオジサン、優しいなぁ。 それでも、ちょっと気が引ける。 「え?でも・・・悪いです」 「いーのいーの!オジサンこんな可愛い子と話せただけでもラッキーだからさ」 「だから、僕男ですけど・・・っ」 「ごめんごめん。でも可愛い子ならいいじゃない! はい、400円でいいよ」 「あれ?500円じゃ、、、、」 「100円サービス。まいどあり」 「ありがとうございます」 「いーえいーえ!」 2パックもどうしよう・・・。 あ、長谷川先輩だ。 そうだ、あげちゃおう。 あまり食べれていないだろうから。 「先輩、お疲れ様です!」 「ああ、悠眞か。楽しんでいるか?」 「はい、楽しませてもらっています。 あ、・・・先輩って何か食べましたか?」 「ああ・・・、それがな、俺達風紀委員は祭りでは食べられないんだ。 いつ何が起こるか分からないからな」 「そうなんですか・・・。あの、焼き鳥だけでも食べます? 実は屋台の方に1パックおまけしてもらっちゃって」 「ありがとう。まあそんなに事件は起きないだろうからいいか。 風紀委員長としても、俺としても、少しは楽しみたいからな」 「どうぞ」 串を取り敢えず1本、手渡した。 その時、聖人と悠眞の手が触れた。 ビクッ、としたが流石に串を持っているので落とすわけにもいかず手を離せなかった。 「あ、・・・ありがとう」 「いえ。それより、どうぞ。 食べてください、多分美味しいですよ」 「・・・多分なのか?」 「はい、まだ食べていないので」 「まだ悠眞が食べていないのに俺が先に食べるのか?」 「だめ、ですか?」 「いや、買った人間が先に食べなくていいのかと思っただけだ。 悠眞がいいのなら、先にいただく」 塩焼き鳥を口に含み食べ始めた。 ・・・それをみて、皐太くんにも渡し、僕も食べ始めた。 懐かしい、味。 あの時の祭り以降、食べていなかった。

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