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公衆の面前

「っ~!!!」 「可愛いな、本当に」 聖人の手が、悠眞の頬に辿りついた。 頬をスベスベと触り、楽しみながら、もう片方の手で悠眞の髪の毛をくるくるとしていた。 まるで、人形を愛でているかのように。 「き、キスっ。絶対周りの人見てた!」 「そうか?まあ、いいじゃないか。牽制できる」 「それでも!恥ずかしいです!!」 悠眞の機嫌取りをするかのように聖人は話をすり替え始めた。 「悠眞、かき氷でも食べに行かないか? ふわふわの、かき氷」 「・・・ふわふわの?食べたいです」 ・・・ちょろい、と密かに思った聖人だった。 聖人と悠眞の手が触れた時、聖人は手を絡めた。 悠眞は更に顔を赤く染めながら手を繋ぎ、海の家で2人分のかき氷を買った。 勿論、お金を出したのは聖人だった。 「先輩ブルーハワイですよね、ちょっとください」 「いいぞ。・・・お前はレモンだったか? 俺も少しくれ」 「はい、どうぞ」 2人はかき氷を交換し少しづつ食べていた。 悠眞から、交換を言い出したが、悠眞はそれが間接キスだと気付いていない。 それが、聖人にとっては好都合だった。 「・・・・・・ここはマッサージ施設がないんだな」 「こういうとこだと無いと思うけど・・?」 「後で、あそこに行くか」 「あそこ?」 「まだ知らなくていい。後のお楽しみだな」 「・・・楽しみにしてるね」 どこかは、分からないけれど。とても楽しみだ。

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