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長谷川島(仮)
「ここにいると嫉妬心が爆発しそうだ。
・・・向かいの島に行こう」
「え?」
「ここから見えるはずだ。・・・ほら、あそこ」
今立つ場所から、ぼんやりと見える大きそうな島がぽつん、とあった。
でも、そこへ向かう船なんて無かったはず。
「どうやって・・・?」
「俺の持っているクルーザーがある。それに乗っていこう」
「先輩の・・・」
「詳しく言うと家の・・・、いや、親のだがな。
あの島も親の所有物だ。
好きに使えと言われている。
向こうにはマッサージ施設もあるからな。
後、人目を気にせずイチャつける」
「イチャ・・・っ」
まさか先輩の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。
・・・・まあでもあんな人前でキスしたんだから言っても違和感ない、かな?
「うわあ、やっぱり速い・・・」
「乗ったことがあるのか?」
「うん。2回くらい・・・だったかな。
叔父様と家族で離島にお泊まりした時に。
その時の思い出が、クラゲいっぱいいたなぁ、って」
「クラゲか・・・」
「でもクラゲにはいい思い出無くて。
小学生くらいだったかな、海に入ったら凄く痛くて、出てみて見たらクラゲに刺されてて。
あれ以来無理で、・・・うん」
「子供だな。・・・海は、大丈夫だったのか?」
「あ、入れるか?ってこと?
それは大丈夫です。駄目でも、今回は入りますよ。
・・・・・・先輩と一緒だから」
「嬉しいことを言ってくれるな」
また自分で言ってて何だけど恥ずかしくなってきた。
ああもう、自爆してる。
「結構整備されてる・・・」
海はそのまま、綺麗な澄み切った水色、そして、青。
砂浜もゴミ一つない。
後ろを向けば白く大きい建物が建っていた。
パラソルなんかがあって、海を見渡せながらマッサージが受けられるみたい。
「ああ、そうだな。・・・・それにしても、俺自身ここに来るのは少し久しぶりだな」
「そうなんですか。・・・ふぅ、何しますか?」
「マッサージでも受けるか。
・・・それから、海を見ながら軽食を食べよう。
夕食にはだいぶ早いからな」
「マッサージは初めて受けます。ふふ、楽しみ」
何だか一気に色々食べたいものが浮かんできた。
浮かんでも、いっぱい食べられないから、それが残念。
取り敢えず、マッサージで疲れを癒せたらいいなぁ。
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