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友達。

「何か悠眞が抱え込んでんのは分かるよ。 でもね、無理して言って、ってわけじゃないから」 「・・・うん」 ぽん、と悠眞の頭に手を置かれナデナデされる。 子供にするような、手つき。 それは凄く優しいもので。 でもやっぱり、言えない。 ごめんなさい、皐太くん。 「話変わるけどさ、悠眞って歌うことが好きだったりする? 会った時歌ってたから好きかと思ったんだけど」 「え?・・・・・・うん、好き」 「ならさ、今日の放課後カラオケ行こーぜ。 そんでストレス発散すんの。どう?」 「うん、いいよ。行きたいな。 ・・・ありがとう、本当に」 そうして昼休み。 体力テストで力尽きたって言うのに。 皐太くんは僕をバスケに誘ってきた。 その皐太くんの周りには僕の知らない人がぞろぞろと。 ・・・もう、友達できたんだ。 僕とは大違い。 なんて落ち込んでいると無理矢理連れて行かれた。僕が。 「ちょっ、皐太くん!!」 「いーいーかーらっ。 一緒に遊ぼうぜ?な?」 な?って・・・・・・。 でも、誘われたら断れないのが僕。 「俺さ、神風と話してみたかったんだよな」 「それ俺も」 「悠眞な、バスケ経験者なんだよ。 上手いぞ?絶対」 皐太くん・・・ハードルあげないで。 「んな事言ったら俺バスケ部キャプテンだったけど? しかもエース」 「それ自分で言うのかよ」 ・・・僕なんかじゃ相手にならないよ。 「んじゃ、やろーぜ? 悠眞は俺と同じチームな」 「戦力にならないと思うけどそれでいいなら・・・」 「大丈夫だって」 そう言って3on3が始まった。 僕の知らない人・・・即ち皐太くんのお友達さんは全員バスケが好きなイケメンさん。 運動が出来てイケメンなのは羨ましい限り。 「おまっ・・・・・・神風普通に上手いんだけど」 「そう、かな?」 言葉を交わしながら悠眞は3Pラインからシュートをきめる。 「やった!あ、皐太くんディフェンスお願い!!」 「OK!!」 一声かけるとすぐ様皐太くんはボールをカット。 そしてゴール下まで下がった僕にパスをした。 フリーだ。 入れなきゃ、だめだ。だから慎重に。 トンッ...パシュッ 「よしっ!!!」 「流石悠眞!!やっぱすげぇ!」 「ほんとに中学部活入ってなかったのか? まじで・・・嘘だろ。エースだった俺でそう大差ないとかやばいって。 神風ってどんな奴と相手してんの」 「大人...なんだけど偶にコーチやってる人とか国体出た人とかとやってる。 そんなに僕じゃ相手にならないけど」 うん、苦笑するしかない。 「大人!?うわマジか」 「悠眞歌も上手いもんな。 あの日さ、歌声が透き通っててめっちゃ綺麗だった」 「あの日ってなんだよ。 てか歌ってなに?」 「・・・・・・ちょっと恥ずかしい、かな?」 「んなら今日放課後カラオケ行くしお前らも来る? 悠眞もいいよな?」 「・・・うん、いいよ。 元はと言えば皐太くんが誘ってくれたから」 「それよりさ、俺ら名前言ってなくね?」 「あ、確かに」 「そうじゃん」 「神風のことは名前知ってるけど俺ら知らないとかww」 「んじゃまず俺からな。 俺は上条弓月〈カミジョウユズキ〉」 「ゆずの次は俺! 俺は佐々木拓都〈ササキタクト〉」 「拓都の次は俺だな。 俺は海崎伶威〈カイザキレイ〉」 「lastは俺でしょ!はい待ってましたー!! 俺は泉泰晴〈イズミタイセイ〉」 かっこいい名前。 なんか、まずオーラが違う。 あ、ていうか・・・ 「・・・みんな何て呼べばいい?」 「どうせなら名前で呼んでくれ。 まあ弓月でもなんでもいい」 「同じく名前呼び希望で! 拓都って!」 「俺も名前呼びで頼む。 伶威と呼んでくれ」 「みんな名前呼び希望なのに俺だけ苗字呼びはないっしょ! てなわけで俺も名前呼び決定! 泰晴って気軽に呼んでちょーだいよ」 「うんっ、なら僕のことも名前で呼んで?」 「もちろん!」 なんか、一気に友達が4人増えた。 これも皐太くんのおかげ。 ありがとう、皐太くん。

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