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早くしないと。
「街まで出たしさっさと戻ろーぜ」
「あ、てか外出届け出したっけ・・・?」
「・・・・・・・・・やばいな。出し忘れてた」
「レイ~っ!!
ちょ、ゆず、どうすんの!?」
「・・・どうしよう。と、取り敢えず学校まで戻ろう?
それから、門が空いてなかったら・・・僕が何とかするから」
「悠眞が何とかするって・・・何か案あるの?」
「一応だけど、・・・それより早く戻ろう?
あ、このバス乗れば直行で行ける!!」
「あ、おう!」
慌ただしくみんなでバスにかけ乗った。
外出届けも出してない、出したとしても学校自体の門限は7時。
もう7時過ぎだし着いたら40分も過ぎたことになる。
・・・うっかりしてた、僕。
もしも、門が空いてなかったら叔父様に連絡するしかない。
「着いた・・・ってあれ、誰か・・・・、いる?」
「門の前に立っているな、確実に」
「悠眞!!!!!!!!」
「っ・・・」
突如、大きな声で悠眞の名前を呼んだ。
その人物は、皆様お分かりの通り政信だ。
「理事長!?は、なんで・・・」
「うわ、叱られるパターンじゃね」
「てかなんで理事長、悠眞の名前知って・・・」
政信は悠眞の両肩を掴んで言った。
「心配しただろう!
門限も過ぎている、それに外出届けも出ていない。
探し回ったのは私だけでは無いんだぞ?
君達もそうだ!!
先生方がどれ程心配したか・・・」
その顔は心底心配して、そして、安心したのか疲れているようにも見えた。
「ごめ、・・・んなさい」
「特に悠眞はいつどこで何が起こるか分からないんだ。
これから外出する際はちゃんと私に連絡しなさい。
帰る時間もちゃんと連絡するんだ。
時間を過ぎても見逃してあげるから、だが必ずしなさい。いいね?」
「迷惑かけるつもりじゃ、なかったんです。
僕が、久しぶりに友達と遊んだから、それで遅くなって・・・。
僕が、悪いんです。叔父様、お願い。みんなは許してっ」
「悠眞、よく聞きなさい。
私はお前を責めているわけではない。
心配したと言っているんだ。
言わなければいけない言葉があるだろう?」
「はい・・・、ごめんなさい、政信叔父様っ・・・・・・」
「もういいんだ、でもこれからは気をつけるんだよ?」
「っ・・・コクン」
悠眞はコクコク、と頷き政信に抱きついた。
全員、そんな2人の雰囲気に何が起こっているのか分からない状態にある。
完全に口が開き、目は見張っていてぽかーん状態だ。
「ほら、後で先生には私が謝っておこう。
全員、寮に帰りなさい」
先程の怒った雰囲気は微塵も出さないでふわり、と微笑んだ。
そんな政信の様子に悠眞は少し安心を覚えつつ、相も変わらずぽかーんとしている彼らを連れ寮に戻っていった。
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