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登場。

「・・・長谷川先輩、バスケ部だったんですね」 そう颯爽と肩にタオルをかけ現れたのは長谷川聖人。 適度に汗をかき、まさに練習を途中抜けしてきましたと言わんばかりの姿。 「ああ、まあな。なんだ、知っててきたんじゃなかったのか。 てっきり俺に会いに来たのかと思ったぞ?」 !? な、何をこの人は・・・ 「・・・会いたかったですけど」 って僕は何を!? ・・・え、ちょっと待って。 今のは、本当に僕? 僕が言った、のかな? 確認する様に、もう一度、聖人はゆっくりと尋ねる。 「俺に・・・・・・会いたかった、・・・のか?」 「・・・・・・・・・コクン」 思わず、首を縦に下ろした。肯定、の意味だ。 その場に皐太と弓月や沢樹、そして他の生徒がいるのにも関わらず話が展開していく。 悠眞の頬は徐々に赤く染まっていき、聖人の耳は少しばかり赤い。 「あ、まあ、うん。その話は後で、な? ・・・お前がここに来たってことはバスケ部に興味があるってことでいいんだな?」 その雰囲気を打ち消す様に話を変えた。 「いえ皐太くんが・・・」 取り敢えず、皐太くんに話をふったけど。 うん、ごめん。 「俺かよ!?まあ興味無かったら来ませんよね」 「そうだな」 「それに弓月・・・・・・と、こいつなんですけどバスケすげぇやりたいみたいですよ」 「そうかそうか。 なら一緒に試合してみるか?勿論悠眞も一緒に」 「ぼ、くも?」 「ああ。駄目だったか?」 「いーじゃん、悠眞俺らとバスケしてたし。 それに上手かったんだからさ」 「え、あ・・・・・・うん」 上手いことはないと思うんだけどなぁ。 僕なんてまだまだだし。 「悠眞は見た目だけで分かるが細い。 今からでもちゃんと食べてちゃんと寝て、ちゃんと運動しなければ駄目だからな」 「長谷川先輩って悠眞のお母さんみたいですね」 「そうか?まあ何か気になるんだ・・・悠眞のことが」 「っ・・・」 瞬間、顔がカアアアと紅く染まった。 恥ずかしい・・・今すぐにでも消え去りたい気分なのだけれど。

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