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偽りの笑み。
「おい!!聞いてるのか!?!?!?!?」
「・・・聞いてますよ?
それに僕、きみの名前知らない」
「あ!俺の名前は凪沢清〈ナギサワセイ〉だぞ!!!」
別に、知りたくなかった・・・・・・・・・て、え??
凪、沢・・・・・・?
嘘、もしかして。もしかして、政信叔父様の・・・。
いや、偶然。そんなわけない。
「おい!!!!!!名前教えろよ!!!!」
「あ、・・・うん。僕の名前は神風悠眞」
「神風、ですか?」
「え?はい、そうですけど・・・」
「では貴方はあの会社の・・・・・・そうですか。
私は舞野鳴海と言います。よろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
にこり、と鳴海が微笑む。が、悠眞には分かった。
その笑みは偽りの笑み。
心からの笑みではない。
「おい、何をしている。騒々しいな」
うんざりした表情で近づいてくる。
「聖人!!!!!!」
「うるさいと言っているだろう・・・・。
もじゃ・・・と、失礼した。凪沢、悠眞を離せ」
そう。今僕は凪沢くんに腕をつかまれています。
案外、力が強くて痛い。折れる。
でも、痛そうな顔が出ていただろうか。
出ないように、気をつけてはいたけれど。
「なんで話さないといけないんだ!!!!
俺達、友達なんだから別にいいだろ!!!!」
いつ君と友達になったよ・・・。
「・・・そうなのか?」
ちょっと、聞かないでほしい。
僕、こういう人無理。
「違いますから」
「なら行くぞ」
「え、ちょっ」
グイッ、と聖人は悠眞を引っ張った。
それと同時に凪沢の手を振り払った。
だが。
フラ・・・・・・
「おいっ」
悠眞は急に眩暈がしてしまい、足の感覚が無くなった。
そして、カクン、と床に座り込んでしまった。
眩暈がすると、立っているのに、方向感覚がなくなり、目がおかしくなる。
ぼやけると同時に真っ白に。
足に力が入らなくなり座り込んでしまうことなど最近は無かったというのに。
また、か。
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