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眠り。そして夢。

少し、眠くなってきた 目が、ぼやけて 瞼が落ちる うとうと、と。 「悠眞、寝るか?」 コク、と頷き返事を返す。 ふと、気がついた。 なんだか気持ちいいと思っていたが今、聖人に頭を撫でてもらっているではないか。 ・・・うん、気持ちいい。 できれば、続けて欲しいけれど、我が儘かな。 「頭、撫でててやるから心配するな」 なんで、分かったんだろう。 そんなに、顔に出てたかな。 ああ、だめだ。 もう、落ちる。 最後に聞こえた声は、先輩の優しい「・・・おやすみ」という声だった。 なんだろう、ふわふわする。 気持ちよくて、心地よい場所。 いつしか、彼は言われた。 「お前は汚い」 僕は汚い。 「貴方は綺麗」 僕は綺麗。 「お前は醜い」 僕は醜い。 「お前は美しい」 僕は美しい。 「お前なんて生きる価値なんてない」 僕の生きる価値は、ない。 それでも、ある人は言った。 「貴方には光り輝いて欲しい。 今も充分、輝いてるわ。でもね? 今の貴方はまだ宝石の原石よ。 貴方はもっと、輝ける」 そんなはず、無いというのに。

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