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それから。

僕は、やっぱり、何も知らない。 だから、否定しようとしても、しきれないのが事実。 両親に聞けど、それで何かが変わるわけでもない。 ・・・どうでもいい。 普通に暮らせれば。 「もう、寝よう」 これ以上、考えても、何もならない。 なんか、疲れた。 久しぶりにあんなに本格的な料理もしたし。 心身共に疲労状態。 「はぁ・・・・・・」 あのことがあってから、いや、だからかは分からないけれど。 長谷川先輩と会わなくなっていった。 皐太くんや弓月くん達とも、あまり前のようには話さなくなって。 その代わりと言ってはなんだけど。 「おい!!!悠眞!!!!!一緒に遊ぼうぜ!」 「あ、・・・凪沢くん、また来たの」 「なんだ!?そんなこと言っちゃいけないんだぞ!! 俺に謝れよ!!!」 はあ、正直うざい。 僕に、構わないで欲しい。 名前も、呼ばないで。虫唾が走る。 「ごめんね、そんなつもりじゃなかったんだ。 ただ、凪沢くんのことが心配だったから」 「ああ!そうだったんだな!!!」 本当に、疲れる。 どうして僕にそこまで構うの。 もう、嫌だよ。 「神風くん、清と共に行きましょう?」 「先輩・・・、僕は授業に出るので大丈夫です。 それよりも、先輩や凪沢くんは出なくても大丈夫なんですか?」 「はい、私達は大丈夫です」 「そうだぞ!!!叔父さんがいいって言ったんだ!!!!」 「・・・・・・・・・政信叔父様が?」 思わず、眉をひそめた。 どういう、こと。叔父様が、そんなこと、するはずないけど。だけど。 「・・・神風くん?」 「いえ、何も。何でもないです」 「授業始めるぞー、凪沢、舞野、お前ら出てけ」 「教師がそんな態度で良いのですか」 「うるせ、んな事言ったら舞野。 お前生徒会の仕事ちゃんとやってねぇだろ」 「・・・・・・清、行きましょう」 ああ、逃げるんだ。 ふふ、図星かぁ。可哀想。 自覚なく、その顔は微笑んでいた。

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