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連絡。

どうせ後1時間で終わるんだからサボるも何もないけど。 ピロン あれ。 「拓巳?なんで・・・」 それは、小、中と共に一緒にいた幼馴染みの佐々木拓巳〈ササキタクミ〉。 中学でいじめられていた時は別クラスだったからあまり知られていなかったけど、拓巳だけは信じられる人だった。 卒業してから、会ってなかったし連絡もあまりしてなかったのに。 どうしたんだろう。 内容は、今日会わないか、というものだった。 財布とスマホを持って外へ出る。 門番の人に外出届を貰い、手早く書いた。 こんな時間に、と変な目で見られたがそんなことは気にしない。 拓巳、拓巳、拓巳・・・・・・早く、会いたい。 会って、色々話したい。 彼にだけは、本当に、気を使わないで済むから。 ・・・―――1時間半後 「悠眞!」 「っ・・・拓巳!!」 久しぶりに見た拓巳の姿はちょっぴり大きくなった気がする。 でも、痩せた・・かな? 「めっちゃ久しぶりだな~・・・。 本当は連絡したかったんだけどさ、やっぱ勉強大変でさ」 「拓巳は進学校に進学したんだっけ? しょうがないよ、僕も大変だったし」 「悠眞は全寮制だろ?大変だよな、そっちも。 どうだよ、男子校は。恋愛してる暇ねーだろ」 「恋愛も何も僕には、必要ないから」 「うっわ~・・・なんか、すげぇわ。 てかな、今日呼んだ理由なんだけど・・・・・」 違う理由でも、あるのかな。 「実はな、集まろうってなって・・・」 「集まり?・・・何の?」 「俺ら卒業生で。同窓会にはすごい早いけどな。 学年全体で呼びかけても1クラス分しか集まらなかったし」 「・・・・・えー。なんでそれ教えてくれなかったの」 すごーく、行きたくない。 「それ言うとお前来ないだろーが」 「否定できないのが悲しいね」 ぱこんっ、と拓巳が持っていたパンフレットで頭を叩かれた。 ちょっと、痛いんだけどな。 「どの道行かなきゃダメなら早くしないとだよね」 「お、行く気になった。なら早速行こうぜ」 「うん」 どうせ、歓迎はされない。 あれだけ、いじめられのだから。 馬鹿にされて、虐げられて。 それこそ、死のうと思ったほど。 だけど。・・・だけど。 死ぬほどの勇気がなくて、痛い思いをしたくなくて。 できなくて。 ああまた、嫌な気分だ。

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