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同窓会のような。
「あ、神風」
「おー、悠眞じゃん」
「・・・久しぶり」
案外、普通。
だけど、どうなるか、分からない。
だから、怖い。
そんな心配を他所にとんとん拍子に会は進んでいった。
これの、どこが楽しいんだろう。
わいわい騒ぎの同窓会。いや、ただの集まり。
だが、誰が言ったかも分からない一言でそこは静寂を迎えた。
「そう言えばさ、神風の進学した学校って金持ちの学校じゃなかったっけ」
知らないよ、そんなこと。
「ええ!?そうなの!!!」
「あの神風が?・・・金持ち?うっそお」
「・・・僕は普通だよ」
「そんなわけねェだろ?知ってんだぞ。
俺聞いたんだからなァー、前担任が言ってたんだよ」
「事実はどうであれ盗み聞きしたんだね」
「は?ちげーし、聞こえただけだっつーの。
そんなことも分かんねェのかよ、お前。
流石馬鹿なだけあるな?その学校ってお前みたいな馬鹿でも金出しゃ入れるんじゃねェの?
うわ~。てかお前んとこほんとに金持ちかよ」
腹を抱えて笑い出す。
聞こえただけ、って結果は同じだろ。
そう思ったけど言わなかった僕はすごいと思う。
ていうか自分で「金持ちじゃねェの?」とか言っときながら何なの。
僕は言ってるじゃん、普通の家庭だって。
僕は真顔で静かに佇む。
ああ、どうでもいい。
だから嫌だったんだよ。来るの。
「おい、何か言えよ」
「・・・・・・・・・」
「言えっつってんだろこの野郎!!」
僕に向かって拳を振るう。
咄嗟に、腕で顔を庇った。
「やめろって!!!悠眞、お前も反撃ぐらいしろよ!」
否、振るおうとした。
その拳は拓巳によって止められた。
「僕が何か言ってもどの道喧嘩になるでしょ。
反撃するほどの力、僕にはないから」
「はっ・・・・・・まじひ弱だよなァ、お前。
頭も弱ェし、まじきもいわ」
「知ってるよ、そんなこと」
「知ってんなら土下座してみろよ、なァ?」
なんでなの。意味がわかんない。
「おいおい、そこら辺でやめようぜ?
悠眞に何させようとしてんだよ」
「チッ・・・」
「男子ほんと何してんの~?
悠眞くん大丈夫~~?」
「大丈夫」
大丈夫だから、近づかないで。
喋りかけないで。
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