｢2日後の土曜日、2人でお料理しましょう？ そしてお世話になった皆さんをお呼びするの。 どう？｣ ｢うん、いいよ。母さんと料理するの、初めて｣ ｢そうね｣ ふわっ、と春香と悠眞はお互いに微笑む。 辺りには花が咲いた様な。 ｢悠眞、春香ちゃん、私も手伝おうか｣ ｢ありがとうございます、政信さん｣ ｢政信叔父様とも料理かぁ･･･楽しみ！｣ ｢俺は何も出来なくてすまん･･･｣ ｢克哉さん･･･。では家のお掃除と飾り付けを手伝ってくださいね？｣ ｢ああ、勿論だ｣ ｢悠眞、明日明後日とお休みを政信さんに取ってもらいました。 その2日間で引越しをしてしまいましょう？ さあ、忙しくなりますからね！｣ ｢土曜日の昼に皆さん学校の正門に集まってください。 迎えに行きますから。 もう夜遅い･･･皆さんには近くのホテルの部屋をひとり一室取ってあります。 料金は勿論の事こちら持ちですのでご安心ください。 遅いですが夕食もホテルで用意してあります。ゆっくり休んでください｣ 父さんがみんなに向かって申し訳なさそうに、それでも微笑みながら言った。 それにしても。 ｢今って、何時？｣ ｢23時よ｣ ｢･･････え、あ、ごめんなさい！！ 僕なんかのためにこんな遅い時間まで･･･｣ ｢いや、大丈夫だ｣ ｢皆さん文句の一つも言わずに待ってくださったの｣ ｢夕飯も食べなかったんですか！？うわあ･･･ほんとごめんなさい｣ ｢それは皆さん後から食べるから落ち着きなさい。 それに、薬は飲んだのか？｣ ｢あ、･･･飲んでない｣ ｢やっぱり･･････ちゃんと飲みなさい。 家のを持ってきたから｣ ほんと、母さん父さん、そしてみんなにも迷惑かけてばっかりだ。 ｢じゃあ、さよなら･･･｣ ｢ああ、またな｣ ｢じゃーね、悠眞！食事会楽しみにしてるからな～！！｣ ｢うん、楽しみにしてて｣ あれから少し話しみんなは帰ることになった。 今僕がいるここは病院らしい。 病院と言っても、父さんの会社の系列でここは特別室だそう。 どこかの部屋かと思ったほど病院らしくなかった。 それにしても、父さんって凄い人だったんだ･･･。 さっきの話しぶりからして、父さんも母さんも裕福だったらしいし。 僕なんかのために、慣れない生活なんかして。 本当に、感謝しかない。