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第2話
待ち合わせの場所まではスマホの歩きナビに任せるとして、問題はココだ。
俺は電車と言うモノに乗った事がない。美羽は乗った事があるらしく、マナカと言う不思議アイテムを所持しているらしい。切符と言うモノを買わなくていい代物らしいけど、俺はソレをどうやって手に入れるのか解らないから、お祖母ちゃんが教えてくれた(小さい時に)切符を買う事にした。
券売機は使った事がないから窓口で買おうと思ったら、今日に限って駅長さん(お祖母ちゃんがそう言っていた)が居らず、俺は仕方なしに券売機で切符を買う事になるのだけど、切符の買い方が解らない。
この二百円とか、三百円とかって、何?ジュースの自動販売機みたいに商品名(駅名)が書かれているんじゃないないの?と左に首を傾げていたら、下りの電車が入りますと言うアナウンスが流れて来た。
どの電車に乗らないといけないのかも、改札口の通り方も知らない俺はパニクる。誰かに聞こうとしても、ココは片田舎。電車に乗ると言う発想の人間はいない。車があるんだから電車は必要なかろうがお祖父ちゃんの口癖だった。
ソレは兎も角、俺は待ち合わせの時間に遅れる訳にはいかないから、最高金額のボタンを押そうとお金を財布から出そうとしていたら、その背後から声が掛けられた。
「何処まで行かれます?」
そう穏やかに訊ねて来る男性に、俺は思わず一歩後退りをした。
誰?と言う顔で俺が身構えると、切符を買うの初めてなんでしょう?と言われて、俺の行動が挙動不審になっていた事を知る。おどおどと右往左往していると、落ち着いてと肩を優しく叩かれた。
恥ずかしいと思ったけど、ココで見栄を張ってもいい事がないと思い、俺は素直に答えた。
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