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第6話

  「んー、成る程。所で、待ち合わせの場所ってナナちゃん人形がある場所?」 そう訊いて来るから、俺は素直に頷く。時間は十一時で、近くのファーストフード店で昼食を取る約束とか、その後、映画見てカラオケするとか、あったりする?と更に詰め寄って訊いて来るから、俺はこくこくと頷いた。 この人なんでこうも詳しく知っているんだろうと疑問は生じたけど、刻々と近付いて来ている約束の時間の方に気が気でなくって、俺は食い入る様に男性の顔を見た。 その顔が矢鱈綺麗に整っているイケメンだと言うのは、改札口の時から知っている。何処かのアイドルみたいな爽やかな笑顔も、スラッとした体躯も改札口の時からカッコイイなと思っていた。そして、出来るなら俺もこう言う遺伝子を両親から貰いたかったと思っていた。 別に、可愛い系がダメな訳じゃない。タダ、一生に一回の人生なら、カッコイイって言われて女の子にモテたい。可愛いは恋にも友情にも走れないから。 そう、俺は小学五年の時に隣の席だった大好きな美乃里ちゃんに、「燐くんは女子よりも可愛い」と言われてしまったのだ。そして、大好きな美乃里ちゃんにそう言われた俺は、大ショックで一週間学校を休んでしまった。ソレから学校に行った俺は、大好きな美乃里ちゃんに「大丈夫よ。燐くんは私が守って上げるから」と言われてしまい、大好きな美乃里ちゃんにずっとお姫様扱いされたのだった。この悲しみは、女の子には解らないと思う。 ソレから、俺は不登校になり、引きこもりが始まった。ムキムキの身体になるまでは、皆に逢わないぞと言う変なプライドで。 そんなこんなと独り百面相をしていたら、男性はニコニコと笑いながら、 「俺、黒川稜稀(たかき)です。初めまして、大多喜燐くん」 そう手を差し伸ばされてしまった。俺は、黒川稜稀?と聞き慣れた名前に、 「え!?もしかして、稜ちゃん!?」 そう突拍子もない声を出してしまっていた。  

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