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第7話
「俺さ、燐くんはもっとごっつい人だと思っていた」
豪快な台詞とか、豪快な行動に出るから。そうケタケタと笑いながら、ファーストフード店の一角で、昼食を取る俺達はネットゲーで知り合った友達だ。パーティーの中で一番気が合う稜ちゃん(HN)は、俺の唯一の理解者だった。
「稜ち…、…稜稀くんは想像通りと言うか、大人びてて吃驚した。とても、俺と同じ高校生だとは思えない…」
俺がそう言い直すと稜ちゃんは「稜ちゃんでいいよ」と言ってくれる。やっぱり、稜ちゃんは俺の理解者だ。
「で、ムキムキの身体にはなれそう?」
そう稜ちゃんが言って来るのは、俺が毎日筋トレをしていると言う事を知っているからだ。だけど、流石に女の子に守って上げるからね♪と言われたから、そうしているとまでは言ってない。ま、稜ちゃんの事なら、俺の体躯を見てそうだろうと推測はするだろうけど。
だから、俺は稜ちゃんから目を反らして、小声でこう答えた。
「もう皆無に等しいです。筋肉質のなさ過ぎに美羽も呆れてました」
稜ちゃんに美羽の事も話しているから、稜ちゃんはそうなの?と言う顔をする。ソレに、バツが悪いと敬語になる事も稜ちゃんは知っているから、よしよしと俺を慰めてくれる。たった二つだけ年上と言うだけでこうも差が出るものかと思うと、俺は恥ずかしさと気まずさで悲しくなって来てしまった。
何せ、稜ちゃんは俺の知らない俺まで知っていそうだったから。
そんな稜ちゃんは俺の顔を屈むようにして覗き込んで来て、
「俺は、努力する人は好きだよ?諦めていないんでしょう?」
そう言って来る。こう言う言葉をさらりと言える辺り男前だ。更に、俺が幻滅しない様にそっと気遣ってくれている所もだ。
「稜ちゃん、やっぱ優しい」
紙コップに入ったジュースをストローで飲みながら、俺はそう言った。イケメンは何を言ってもイケメンだなと思いながら。
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