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第8話

  「ん?俺、優しくするのは俺が気に入った子だけだよ?」 そう首を更に傾げて俺にそう言う。女の子だったら惚れるだろうけど、俺は女の子にモテたい男の子だから、そんな稜ちゃんにキュンとはしない。 ソレに、俺的には、 「稜ちゃんって、たまに変な発想するけど、稜ちゃんは皆に優しいと思うよ」 こう真剣に思っている。稜ちゃんの特別扱いをしていますよは、誰にでもあると言う事だ。稜ちゃんはそう思っていないようだけど。 「疑っている?」 「そんな事ないよ。だけど、特別なのは俺だけじゃないでしょう?」 鈴蘭さんや加藤さんにも稜ちゃんは優しい。稜ちゃんが言う気に入った子だけが、ソコに入っているんだと思った。 「ソレよりも、映画は何を観るの?俺、最近の流行りは知らないよ?」 「そうだね、じゃ、水族館でも行く?お魚さんが沢山いるよ?」 俺の担いでいた大きなじんべいザメのぬいぐるみを見て、稜ちゃんはそう言う。意地悪だなと思ったけど、精神年齢が低い俺はそっちの方がいいと思って頷く。食べ切れなかったポテトとハンバーガーは稜ちゃんが食べてくれた。 水族館までの移動の間は、ネットゲーの会話で盛り上がった。大きなじんべいザメのぬいぐるみは邪魔にならないように、稜ちゃんが持ってくれたけど、ずっと持たせる訳にも行かず、水族館では俺が担いでいた。  

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