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第11話

  「うん、解った。うん、そうする」 そう言って、スマホに溜め息を一つ付いてからスマホの電源を切る。少しでも充電を保持したいから、必要な時にしか付けないのはお出掛けの鉄則中の鉄則である。そう、何時、何があるか解らないがお祖母ちゃんの口癖だった。 「お泊まりの許可下りた。だけど、十時以降の外出は禁止だって」 黙っていたらそうバレない事だろうけど、俺の知能は小学生だからズルはしない。だって、クリスマスにサンタさんからプレゼントを貰えるのは、イイ子だけだし。そもそも、サンタさんの代理人である母さんソレを知ったら絶対に買ってくれない。世の中は世知辛いのだ。 「だから、十時までには絶対の絶対に稜ちゃん家に帰るからね!」 夜遊び禁止と言って、俺は鼻息を荒くする。何処まで必死なんだと思われても、コレだけは絶対に譲れない。俺の十五年はソレだけで構築されているのだから。 「所で、稜ちゃん家って何処?」 俺はそう言いながら頭上を見上げた。身長差が頭一個分以上あったら、そうなるだろう。稜ちゃんは、ココから三十分くらいだと答えた。独り暮らしだからと言うどうでもいい説明はこの際省いて置こう。 何せ、遠足は家に帰るまでが遠足だから花火が始まる前までには下調べを完了させたい。スムーズに帰り着かないと、サンタさんは絶対に許してくれないから。 俺が必死に逆算しているって言うのに、稜ちゃんは終始ご機嫌だった。さっきまでの必死さが見受けられない。と言うか、俺自身が必死だから余裕に見えるのだろうかと、俺は稜ちゃんの横顔をチラリと見た。  

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