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第13話

  翌朝、俺は稜ちゃん家の稜ちゃんの寝具で目を覚ました。泣き腫らした俺の顔は不細工だとしか言い様がない。 「あの、本当にゴメン…」 機嫌直して下さいっと、昨日、俺が取った大きなじんべいザメのぬいぐるみで俺の機嫌を取る稜ちゃんは、一睡もしていない様である。だけど、俺は知らないと頬を膨らませて、稜ちゃんと目を合わさない様にした。その態度が昨日からずっと続いているから、稜ちゃんは、 「もう、本当にしないから許してよ」 そう言って、タダタダ額を床に擦り付ける。そんな稜ちゃんはイケメンではない。イケメンに毛が生えたエセイケメンだ。 とは言え、俺は心底怒っているから、絶対に許してなんか上げなかった。 「ヤダ!!絶対に許さない!!」 そう言って俺は更に頬を膨らませる。稜ちゃんを困らせて気を引いている訳ではない。 タダ、本心から言えば返してくれるなら今直ぐにでも返して欲しいと切に願うばかりだ。返してよと言いたげな俺の様は、もう小学生だ。 「そんな事言わないで。お願いだから…」 稜ちゃんはもう困り果てた顔でそう言って、俺の脛に軽く口付けをした。だけど、俺にはその行為が全く解らず、昨日したキスの事を思い出して、 「イーヤ!!稜ちゃんなんて、嫌い!!大ーっ嫌い!!」 そう叫んでいた。当然、稜ちゃんはショックを受けた顔をしている。自業自得だ。 だからと言って、稜ちゃんにキスされた事に怒っている訳ではない。その後の事に俺は怒っているのだ。 そう、腰を抜かした俺はアレから立ち上がる事が出来ず、門限の十時を越えてからの帰宅になってしまっていた。つまり、門限を守らない子は悪い子で、悪い子は必然的にサンタさんからのプレゼントは貰えないのだ。 そう思ったら、俺は悔しくって大泣きしてしまっていた。しかも、堪えきれず、サンタさんからプレゼントを貰えないと。 そしたら、稜ちゃんがこう言ったのだ。「サンタさんの代わりに、俺が燐くんにプレゼントを贈るよ」と。 当然、俺は激怒した。サンタさんの代理人は母さんだけだ!!と。だって、父さんが言ったんだ。母さんはちゃんとサンタクロースのライセンスも持ってるって。偽物ではないって。 だから、サンタさんを偽ろうとする稜ちゃんは許せれない。否、許さない。  

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