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第5話

☆早く逃してほしい☆ 俺の貼り付けた笑みを見た金髪の男は暗がりでも分かる位に少し頬を赤くしながら 「どういたしまして」 とイケメンらしい満面の笑顔で返してきた。 うっ…。 少女漫画の王子様といえるそのさわやかさは、きっと普通の女子ならノックアウトであったろう。 だが、俺からしたら背筋が寒くてならない。 やめてくれ、そんな笑顔を俺に向けるな。 脳内警報機が更に強く鳴っている。 早く退散しよう。 「ほ、本当にありがとうございます!で、ではお…私はこの後に用事あるので失礼しますね」 このままこの男と居たら危ない、そう本音が口からポロリ出るのを寸断で耐えた。 そして、さっきの笑顔のせいで言葉を出すのが大変になりかけてる。 そろそろ俺のイケメン耐性許容範囲を超えてしまう。 消えたい、ここから今すぐ。 でもこのイケメンで金髪の男は笑顔を向けたまま俺に…。 「なー、君さ…なんて名前なの?」 「えっ…?」 なんて聞いてきた…。 おかげでお礼言って退散しようと下がりかけた足が止まってしまったではないか。 あー、早く退散したい。 助けてくれ。

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