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第12話
☆ヒーロー??☆
正直、さっきのイケメン金髪については思い出したくない。
あのモデル並みの容姿を思い返すだけで手がまた震えてきそうだ。
「気になるって?」
そう知っておきながら、相手の発言に対して気になる所を問おうとするのは俺の悪い癖である。
「イケメン……だから、かな」
雪姉はお玉を口元に寄せて笑いながら言う。
「よく小春はそんな長時間も一緒にいれたわね。ただでさえイケメン嫌いなのに」
「俺も思った。普通なら手の震えより体が震えてたと思う」
「いや、顔が青くなるでしょ。唇とかも」
「あー、そうだな。結構距離も近かったのにそんな風になってなかったな」
本当に一瞬だけあのイケメン金髪を思い出したが、あれは凄くいい方のイケメンであろう。
世間から見たら。
俺はイケメンによって反応が違う。
相手がイケメンであればあるほど拒否反応が酷く、距離が近かったりするとアウト。
勿論、長時間同じ空間にいるのも辛い。
「へー、それはそれはとても頑張ったわ。でも不思議ね。」
「うん」
「あっ、もしかしてあんた女装してたのと相手が助けてくれたからイケメンでも反応が軽い方だったんじゃないかしら?」
「…それはないな。いや、そうあって欲しくない」
まず、否定するべき点は女装。
ありえない、たしかにカツラで少しは顔が見えなかったかもしれないが俺の拒否反応は変わらない。
…でも助けてくれたというのはあるかもな。
かもだからね!
「そうかな…。けどそのイケメンは小春にとって助けてくれたヒーローじゃない!うわっ、お姉ちゃんその人に会いたいかも!」
「却下!!」
ノーサンキューだよ!
それに俺は体の前で思いっきりバツを作る。
「だよねー」
そう笑い、雪姉は立ち上がる。
そのまま「冗談だよー」といいながら部屋に入っていく。
俺はその後ろ姿に溜め息をつき、冗談でも辛いと思いながら雪姉の後に続いて部屋へはいった。
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