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第16話

☆頼み事☆ 一人寂しい下校の確定を得た俺は下駄箱に向かうべく廊下を歩いていた。 「おーい、井上!」 後ろから呼ばれる声に足を止めて振り向く。 そこには俺のクラスの担任である黒田 雅嵩(くろだ まさたか)が大きな体を表す足音で走ってくる。 廊下揺れませんかね、なんて心配するがコンクリートは頑丈なのでそんなことは起こらず。 然程、息も切らさない雅高先生。 通称、雅さん(まささん)は俺の側にすぐ来た。 本人は先生と呼ばれるのが嫌いらしい。 この先生は185cmの高身長でオールバックの渋い感じの少しイケメン先生だ。 いつも煙草吸っており、胸ポケットには常に箱が常備されている。 まず、イケメン先生さん。 少し距離が近いぞ、離れてくれ。 「井上、小林の居場所を知らないか?教室いったらいなくてな」 「あー、透なら生徒会の仕事あるっていってたので生徒会室にいると思いますよ」 「わかった。すまない、ありがとう」 「いえいえ、それでは俺は失礼します」 先生だろうが俺のイケメンに対する警報機が鳴るやつなら俺はさっさと逃げたい。 「待て待て。井上、暇か?」 「帰ろうと思ってた所です。まぁ、暇と聞かれれば暇かと……」 なんかこういう質問くるってことはあれだよな。 嫌な予感しかしない。 「そうか!俺、これから会議があるからこの資料生徒会室にもっていってくれ」 ですよねー! 案の定、雅さんは俺に頼み事をしてきた。 というか俺が返事する前にこの人は発言しながは資料渡して走っていなくなった。 ……おいおい、他人に有無も言わさない頼み方の高度技術だよ。 これは無条件でやらなきゃいけないではないか。 生徒会室って下駄箱とは逆方向じゃん! 俺は深い溜め息を尽きながら資料を持って生徒会室に向かった。

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