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第18話
☆鼻が痛い☆
生徒会室の扉を開けた俺は透がいたのを確認する。
瞳はその光景をなぞるように揺らした。
ソファで男に押し倒されてる透を。
バタンッ!
俺は光の速さで扉を閉める。
この間2秒。
瞳は一往復揺らいで、瞼は数回働きを見せた。
それらの働きにより脳は危険信号を騒々しく響かせ、腕を動かしてくれたらしい。
わー、俺ってば世界選手権出れるかもー(棒)
反射神経選手権とかないのかねーー。
…なんて冗談考えてる場合じゃない。
「………」
なんだろうか、腕に持つ紙類よりも頭が重い。
冷静になってさっきの光景を思い出す。
透、押し倒されてたよね。
青みのかかった髪色の男の人に。
…透はあっちの世界にいってしまったのか。
お前だけは俺と同じ世界で生きていると思ってたぞ。
女の子が好きだと思ってた。
違ったのか…。
てか先日あいつと一緒に新●結●の雑誌見て語ったばかりだったのに。
そうか、あいつは演技してたのか…すっかり騙された。
幼馴染とてわからないことなんて沢山あるんだね。
なんてことを考えていたら生徒会室の扉が開いて、「小春!」と俺を呼ぶ透が出てきた。
しかも扉が俺の顔面にダイレクトアタックしながら。
「いぶっ!!!」
いきなりのことだった為、おかしな声をあげたが痛いものは痛い。
「あっ、すまん!大丈夫か?」
「おー、あまり大丈夫ではないな。素直に痛い」
素直な感想を告げて特に痛む鼻筋を押さえる。
しかし、押さえる前に鼻からツゥっと液体が流れた。
「ん?」
「鼻血出てるじゃないか!あとおでこも血がでてるし…とりあえずこっちこい!」
えっ…。
「やだよ。保健室行くからいい!」
てか、お前らの変な姿を見た後に入りたくねぇーわ!
「ここから保健室遠いだろ!まずこい!」
透は俺が拒む中強引に腕を掴んで生徒会室に引っ張っていった。
最悪だ…。
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