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第26話

☆で、結局?☆ 「あらら、透が怒ってしもうた。堪忍、堪忍」 「怒ってない」 「いや、怒っとるやろ。普段の透はそんな態度とちゃうで?」 「……」 透は柴崎に何か言いたそうな顔したが言っても無駄だと思ったのか開きかけた口を閉ざして資料を再び見始めた。 柴崎は『無視かいな』と言って俺の方に顔を向けた。 えっ…どうかしました? 「なぁ、こはるん」 「何……?」 何だその変な呼び名! さっきまで小春って呼んでただろ。 普通に呼べ長髪。 また拒否反応起こるだろうが! 「透は親衛隊のこと知らんゆうたけど、本当はいるんよ」 「えっ?!」 マジかよ。 「はぁっ?!」 って透も反応した?! 本当に知らなかったのかよ…。 「元々な透は顔が整ってたから人気があったんや。本人がそういうの好まないの知ってたんかは知らんけど、バレないように親衛隊が密かに作られたん。で、あの喧嘩で不良の支持が高くなってさらに親衛隊が拡大したちゅうわけ」 「俺からしたら大迷惑な話なんだけど。というか親衛隊?とか接したことない」 「いや、だから透がそうだから密かにできたんやって。でも日常生活でなんか不思議なことなかったん」 「…まぁ、言われたらそうかもな」 どうやら透にも思い当たる節があるらしい。 「一回だけシャー芯きらしたことあって困ってたら放課後には机の上に新しいシャー芯置かれてたことある」 「あー、それ親衛隊のファンの子やな」 えっ、それはファンというよりストーカーじゃないのか? シャー芯なくなったの気づくの中々ないぞ。 「なんか、怖いな。てかキモい」 透も同じ気持ちだったらしい。 実に同感だ。 「えー、そんなことゆうたらファンに失礼やろ。わしなんて下駄箱に毎朝手紙と上履きに画鋲はいっとるんやでー」 おい、手紙もらえるなんてモテるって自慢かよ! てか上履きに画鋲って確実に恨まれてんだろ! よく笑ってられるな…。 「その手紙の内容いい方なのか。それとも恨まれてる方?」 透、それ笑いながら聞くな。 「あっつーいラブレターもあれば、ものすごーく恨まれてる熱々ラブレターもあるなー」 柴崎…その後方のラブレターはラブレターとはよばれないぞ。 「あはは、マジか。その後方は絶対女関係のだろ。流石は女好き」 透は腹を抱えて笑う。 「それは否定しないんやけど、結構その女好きって言葉傷つくわー」 「勝手に傷ついてやがれ」 「えー、透ひどいわー」 透と柴崎はお互い笑っている。 さっきの雰囲気とは大違いだな。 まぁ、今の方がいいけど。 で、結局さ透は親衛隊がいるってことなんだな。 俺は俺の疑問の答えがでたからいいや。

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