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第30話

☆どうしようか、どうしよう☆ 東条 千秋の微笑みから目をそらすように頭を軽く下げた。 喉からなんとか声を出そうにも、カラカラに渇いていたので言葉がでなかったんだ。 誤魔化し程度に唾を飲み込む。 結構……動揺するもんだね。 相手からしたら挨拶もしない無愛想な奴、との印象になっても構わなかった。 寧ろ、そんな奴と印象付けられれば関わりも無くなるだろう。 だって、もう会うことはないと思ってたやつにまた会うなんてありえないでしょ!? しかも俺は実名とは一文字違うとはいえ偽名を使ったし。 なんというか…。 どうしよう。 こんな時になんて言えばいいのかわからない。 はぁ、とりあえず言葉がでないけど、今言えるのはもの凄くヤダなと思う。 「ふーん、私情ねぇ。」 俺が動揺していたらなんか柴崎がニヤニヤしながら東条 千秋を見ていた。 「なんだよ?碧」 東条 千秋はそんな柴崎に対してムッとした顔をする。 「いやー、別にぃー」 それを見ても柴崎のニヤニヤした顔は直らない。 むしろ尚更、苛つくその表情を隠そうともしないから東条 千秋が軽く小突く。 「言いたいことあるなら言って欲しいんだけど?」 「なんやねん、まったく…んー。千秋の私情って今日の朝に話してた子のことかなーと思うて」 昨日の子? 「昨日の子って誰だよ?」 透が俺と同じ疑問を柴崎に質問する。 その言葉を待っていたかの如く、柴崎が机を思いっきりよく手のひらで叩く。 衝撃でカップが揺れるのなんてお構いなしだ。 「聞いてや!透!」 「碧、言わなくていい!」 柴崎は東条 千秋に止められたのを無視して次の言葉を発した。 「千秋、昨日の夜に恋したんやって!」

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