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第31話

☆鯉とは違うこ…って、え?☆ 「そんなこといわなくていいだろ!」 東条 千秋が少し顔を赤くしながら柴崎に言う。 照れ隠しなのか柴崎の頭を軽く殴る。 殴られた本人は痛い、痛いと大袈裟にソファに倒れこんだ。 大柄な男が顔を覆って痛がる姿というのは、ある意味イタいと思う。 しかしまぁ…へー、不良でも恋するんだ。 人間は誰でも何歳になったとしても恋はするよな、うん。 「で?で?その子はどんな感じなんだ。てか柴崎、経緯を教えてくれよ」 透は興味津々に身を乗り出して柴崎に聞く。 「わし、その子のことを見てないからわからないねん。堪忍な。経緯…言ってええの?」 顔を覆っていた手の隙間からチラッと柴崎が東条 千秋へ視線を移して確認をする。 「どうせ、お前のことだから言うなっていってもいうんだろ?はぁー、いいぜ。言っても」 東条 千秋が溜息をついて了承する。 柴崎は当然のことながら喜び、「よっしゃ!言うでー」と身体を起こした。 「今日の朝に千秋から聞いた話やったんやけどな…。 千秋、昨日の夜に散歩してたら男3人にナンパされた女の子に会ったんや。 女の子が凄い嫌がってたらしくてな。 その場から立ち去ろうとしたら男の1人が腕を掴んだんよ。 それを見て千秋が「離せ」って言ったんや。 けど、手を掴んだ男が女の子を引っ張って連れてこうとして、女の子が腕を振りほどいたら丁度よく手が当たって男3人に激怒されたらしい。 しかもその3人の男女の子に手あげようとしたんやで! なんつぅ奴ら!女の子に手あげる奴は阿呆や!最低や! …これはわしの感情やから気にせんといて。 それで千秋はまずいと思うて男3人殴り倒して、女の子の安否を確認しんや。 女の子が「ありがとう」と微笑んだ時、千秋の春がきたんや!」 「ってことはつまり…」 「千秋 は女の子の微笑みを見て惚れてしもうたらしい」 「なるほど…」 透、なるほどじゃねぇんだよ。 その話、聞いててもう冒頭部から分かったさ。 その話題の渦中の女の子。 もろ俺じゃん!!!!!!!

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