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第37話

☆校門、そして…☆ あの後、時間が遅くなったということで、俺達は帰る準備をしてわかれた。 俺は校門の前で透が来るのを待っている。 校門前のコンクリートに寄りかかると何故かアニメのワンシーンを思い出す。 あのアニメは校門前でやけに高い外車だった気がするけれど。 本当は俺もこんな所で待つことなく、教室に行こうとしたのに透が『走ってとりに行くから大丈夫』といったので先にでてきたのだ。 しかし、まだ5月だといっても肌寒い。 あたりはもう夕日が沈み、薄暗い中俺はポケットに手を入れて透を待った。 「ごめん、小春!お待たせ!」 「いいよ、早く帰ろう」 「おう」 透は全力で走ってきたようで随分と息が荒い。 はい、と手渡された鞄を受け取る。 「ごめん、ありがとう」 「いいよ。でも走ったから暑い」 「だろうね」 Yシャツをはだけて手で仰ぐ姿を見ると、なんだか申し訳ない気持ちになる。 「5月とはいえ少し湿りっけあるから嫌なんだよな」 やだやだ。 そう言いながら透が歩き始める。 俺も動きに合わせて足を進めた。 て、暫く見慣れた道を歩いていた時だ。 「なぁ、小春。千秋が言ってた女の子ってあれお前だろ?」 透が爆弾を落としてきた。 「知ってるのにその質問してくるのはおかしいと思うぞ、透。お前、何回も笑ってたろ」 これについては聞かれることを予測していたので、特に驚く事なく、平然と答える。 「そうだな。お前の青い顔見てて面白かった。でも途中助けたんだから許せ」 「まぁな。あれは凄く助かった。ありがとう」 「おう。」 「「……。」」 なんか沈黙起こしてしまった。 ……。 「「なぁ!」」 あっ、見事にハモってしまった。 「と、透先に言いなよ!」 「い、いや小春こそ!」 「「……。」」 また沈黙かよ! こういうの俺は苦手なんだよな…。 俺から話すべきか…? 「あ、あのさ小春。」 「何?」 良かった。透が先に話してくれるみたいだ。 「小春、女装させられたのも可哀想だけど、千秋に好きになられるとは流石だな!」 「ば、馬鹿野郎!つか流石ってなんだよ、俺だってこんなことになるとは思わなかったんだよ。元々、雪姉が女装させなければこんなことにはならなかったんだ…。」 まず、あの時の微笑んだ自分。 過去に遡ってやめさせたい。 「おい、後半ぶつぶつ言ってるようにしか聞こえないんだけど」 「うるさい!その東条 千秋は不良なんだろ! しかもイケメンなのに、なんで俺なんか好きになるんだよ!」 「正確には『井上 春』っていう、お前が作り出した架空の女の子だけどな」 まぁ、そうだな。 「それに、千秋は不良だけど怒らせなければ普通にいいやつだから大丈夫だよ」 おい、その『怒らせなければ』というフレーズ前にも聞いたぞ。 すっごい気になるけど、すっごい怖い。 「どうせ小春のことだから、もう千秋に会わないだろうと思って簡単な名前にしたんだろ?でも苗字まで一緒にすることはなかったじゃないか?」 流石は透だ。よくわかってらっしゃる。 「あの時の俺は拒否反応が起き過ぎて早くあの場から立ち去りたかったの。透、お前はわかるだろう。俺がイケメン嫌いだって」 「知ってるに決まってるだろう。だから俺がなるべく小春の近くにいるんじゃないか」 そう、透には拒否反応が起こらないことを伝えている。 それに透が近くにいると症状が和らぐことも伝えた。 だから透は学校で俺と一緒に行動してくれている。 「うん。で、あの東条 千秋は誰が見てもイケメンと呼ばれる類なのだから俺の拒否反応が起きないはずがない」 「そうだな」 「後、この174cmの女の子がこの辺りにいると思うか?それに俺の顔は平凡だ。なんであの女装を見抜けないのか不思議に思った」 「たしかにそうだな。ここら辺にそんな女の子いないよな。それに小春の顔は平凡だし…きっと千秋はそういうの気にしてなかったんだよ(棒)」 透にまで平凡な顔って言われたよ。 べ、別に知ってるし!動揺なんてしない。 つか棒読みとか笑えるからやめて、笑ったけどさ! 「気にしないのかよ…」 人の好みに口出ししたくないけど、趣味悪くないか。

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